あんスタ【世界は続いている】4 (ページ11)

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第9話ページ11

死者は出なかったものの、重軽傷者は合わせて数十名。無傷が3名という結果だった。

他の高校生も搭乗していたらしく、読み部門で選ばれていた生徒のうち、2名が喉をやられたらしい。

1名は煙を吸いすぎて喉が枯れてしまったのが原因らしい。だがもう1人は、爆発の近くの座席に座っていたらしく、喉を焼かれ、もう二度と声は出ないらしいとの噂が回ってきた。

それはもしや華ちゃんではないかと思ったが、どうやら男の子らしい。悲しい事だが、華ちゃんでないと聞いて私は安心した。

だが、重症なのにはかわりないようで。

病院に運ばれ緊急手術。

駆けつけた病院先で、オバサンは泣いていた。その隣で羽風薫が優しく背中を撫でている。

ワカが拳を握って壁にもたれかかりながら下を睨んでいた。その瞳に光はない。色々な感情が混ざりあって、何をどうしていいかわからないという顔だ。

アヤトが私に気づき、軽く会釈。目尻が赤くなっていた事から、少し泣いたのだとわかった。

朔間先輩が私の背中を押す。私はゆっくりと華ちゃんがいる病室の扉まで歩き、そっと取っ手に手をかけて、ドアをスライドさせた。

風が舞い込み、カーテンが揺れる。何故だが、羽が舞い上がった気がした。

包帯だらけの身体。たくさんの機械に繋がれた小さな身体。

そして私は目を見開いてその現実を受け止める。

貴｢そんな…｣

静かに眠っている華ちゃんの左足が亡くなっていた。そして左手の薬指と小指が第一関節しかない。

首の左半分から顔の近くまで広がる火傷。跡が残るか？分からない。だがもし残ったら…。

溢れた言葉。

貴｢ごめん…………｣

許してくれる声なんて聞こえては来ない。