あんスタ【世界は動いている】2 (ページ7)

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第45話ページ7

貴｢ふぅ…｣

SDの容量が無くなるペースが早く、今日で何枚使用したことか。

こうなる事を想定していつも予備のカードを所持しているのだが、今回ばかりは初めての事で準備が万全ではなく、残りが無い。

決勝まで時間がある。その間の休憩時間はガーデンテラスのベンチに座って、片手にカメラ、片手にパソコンを開いてデータ移動を行っていた。

クリーナーを使って手入れをしながら、空いたSDカードをケースの中へと入れていく。

残り１枚。後、数分で全て移動を終えるだろう。

ほっと一息吐いた時、冷たいものが頬に当たった。その部位を抑えて、驚いて後ろを見る。

羽風｢お疲れ様…♪｣

まだUNDEADの専用衣装のままの彼が立っていた。頬に当たったのは、缶ジュース。差し出されて、私は目を丸くしながらそれを受け取った。

羽風｢カメラ、１つは無事だったの？｣

背もたれに腕を置いて、画面を覗くように私の肩から顔を見せる。視線を横に向ければ、すぐ隣にある。

貴｢いえ。放送委員に借りたんです。仁兎…先輩の所属している｣

羽風｢なるほどね…あ｣

私は流すように見ていた写真を止める。

羽風｢これ｣

貴｢UNDEADのみんなが笑ってる瞬間っすね。角度的に、肩並べて笑いあってるみたいでしょ？｣

羽風｢…俺たちって、こんなふうに笑うんだね｣

その表情はどこか寂しげで、そして嬉しそうだった。