あんスタ【もう1人の転校生】9 (ページ9)

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第86話ページ9

お客さんの数はめちゃくちゃ多い。そうか、今日はハナサクとの合同だからそっちの生徒も来てるんだ。

一人納得したあたしはうんうんと頷く。

｢あっ、Aちゃーん！｣
｢A～！｣

左右から名を呼ばれ、首を右左に振る。右側女子生徒、左側男子生徒に腕を捕まれ捕獲された。

｢ちょっと！そっち手、離しなさいよ！｣
｢そっちが離せよ！｣
｢Aちゃんは今からあたしたちと一緒にまわるのよ！｣
｢こっちは、演劇の練習に出てもらうんだよ！｣

まぁた勝手に話が進められているようだ。そんなに引っ張られると腕が引きちぎれるのだがなぁ…(´；ω；｀)。

貴｢あー…今日は１人でいたいんだけど…いいかな？｣

｢｢えぇ～！？｣｣

こういう時ばっかり一致団結するのは何故なのか。きっとそれは科学でも証明できないだろう。

貴｢初めて、なんだよね。文化祭ってさ｣

中学生の時は『鬼門』として、高校生の時は『オルドル』として、文化祭だの体育祭だの、楽しい高校生イベントは仕事で殆ど全滅だった。

準備しているみんなを見ていて、いつも羨ましいという気持ちが募る。あたしは歌詞を覚え、録音して、ダンスを覚えたらライブに出るとか…ジャケットの撮影とか色々あったしなぁ。

貴｢だからその、楽しみたいっていうか…好きなところを好きなように行きたいんだ、よ、ね…？｣

黙り込んでしまった。どうしようと焦っていると、ぶわぁっと涙を浮かべた二人があたしに抱きついてきて、全然いいよぉ～！！と、泣き始めた。

貴｢ぷっ、あっはっはっ｣

ありがとうとみんなに手を振って分かれ、ポケットに入れておいた各屋台とプログラムの書かれた冊子を手にする。

どこに行こう、かなぁ…。

楽しみに心踊らせ、ルンルンと足を弾ませてた。