第83話 ページ6
朱桜｢Aお姉さまぁ〜！｣
貴｢おおう！今日も元気だね、朱桜〜！｣
レッスン室の扉を開けたら抱きついてきた朱桜を抱き返す。クルクルと回って互いに頬ずり。瀬名にベリっと剥がされて、離れた小さな温もりが寂しい。
鳴上｢Aちゃん怪我の具合はどぉ？｣
貴｢何とか大丈夫。文化祭には間に合うよ｣
腕に巻いた包帯を外す。腕には殴られた痣があったのだが、今は少し赤みがかってるだけ。本番には綺麗さっぱり治るだろう。
朔間弟があたしの背後から腰に抱きつき背中に頭をグリグリと埋めてくる。
あれ、一人足りない。
貴｢瀬名〜月永は？｣
瀬名｢王様は…｣
指を指した先、呪文を唱えるようにブツブツと楽譜に音を奏でている。
痩せた、か？髪の乱れからお風呂に入っていないのではないか心配になる。目のクマも深い。
貴｢月永｣
月永｢A｣
肩に手を置くと、その上から冷たい手がヒンヤリと重なった。充血気味の目があたしを捉える。
月永｢お前に、話を聞きたい｣
貴｢ん？｣
月永｢お前の騎士は、どんな騎士だったんだ？｣
貴｢へ？｣
月永はあたしがいない時の事件を話してくれた。その時、守と少し話したらしい。
同じ騎士同士、どんな敵が来ても立ち向かおう。裸になってもいいじゃないか。
互いを守るために、騎士は剣を握るんだ。姉貴も、そうやって立っている。
それは、今もLEONに受け継いでいて俺はLEONのメンバーを守るために牙を剥いて立ち向かっていってる。
だから月永も、真正面から立ち向かえ。
月永｢その時に聞いたんだ。お前達にとってのナイトはどうやってできたんだ？って｣
姉貴が創った。守りたいものがあるからって。
月永｢でも、それは消えたって。でも、Aは闘っているって｣
真剣な鋭い剣先があたしを狙っている。
月永｢お前は何を守るために自分の騎士を作ったんだ？お前が今、立ち向かっている敵はなんなんだ？｣
月永は立ち上がって、あたしの肩を掴んだ。
月永｢教えてくれ。その荷、俺たちにも背負わせてくれ。だって、仲間だろ？｣
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作者名：�� | 作成日時：2017年7月25日 10時
