第118話 ページ41
瀬名｢よいしょっと…｣
背負ったあたしを一度背負い直す。
貴｢んっ｣
月夜の道を歩く。あの後、OXは意識の戻った守の元へと向かった。ついでに兄の康人の様子も見に行ってくれるそうだ。
暗い影からエンジン音。角を曲がると、瀬名にライトが当たる。眩しさに目を細める。
そして、猛スピードで突っ込んできた。
瀬名｢なっ｣
狙っているのは、俺たちか。
｢瀬名！！！！｣
影が飛び出してきて、間一髪車を避ける。
尻餅をつき、あたしは壁に背を打ちつけた。小さな痛みに目を開ける。
瀬名｢いっ…｣
貴｢瀬名…？｣
ぼやけた視界に瀬名が映る。
貴｢！？｣
腕を掴んだ。
貴｢腕から血がっ｣
恐らく倒れた時に地面に滑らせたからだろう。青に黒が現れる。
瀬名｢大丈夫だよ、これくらい。…ありがとね、王様｣
月永｢たく…驚いたぞ？｣
再びライトが3人を照らし、向かってくる。背後は壁。挟まれる。
貴｢…｣
あたしは立ち上がって二人の前に立った。月永と瀬名があたしの名前を呼ぶ。
車はスピードをあげる。
瀬名｢A！！｣
だが、それは止まった。
七瀬｢ふふふっ｣
ガラス越しに合わさる視線。不気味に照る。
七瀬｢弟の具合はどぉ？｣
貴｢っ｣
七瀬｢耳が聞こえなくなるようにしておいたから、帰ってくるのが楽しみねぇ？｣
貴｢なっ｣
それだけを言い残して、車はエンジンをかけた。
呆然と立ちすくむあたしの腕を瀬名が引っ張り、月永と共に走る。
七瀬｢うふふふふっ｣
生きているか否かは重要ではなく、
七瀬｢起こったこと自体が、Aの心をひどく壊すのよねぇ…♪｣
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作者名：�� | 作成日時：2017年7月25日 10時
