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第117話 ページ40
蓮｢守！｣
守｢…｣
白い天井が視界に入る。気だるい身体を蓮に支えられながら守は上半身を起こした。
渡された水を手に取り一口。
守｢あっ｣
蓮｢どうしたの？｣
守｢俺、耳になんか入れられて…｣
蓮｢それなら平気よ。ヴァイスが早く見つけてくれて早く治療が出来たから耳にはなんの影響もないらしいわ、よ…って｣
守｢あ、れ…｣
自分の首に手を置く。
守｢あー｣
声の振動が喉元で揺れる。それを手で感じる。
守｢俺、声で、る…？｣
蓮｢やった、やったじゃない！良かったわぁっ！｣
守｢…なんでいきなり……？｣
病室の扉に滑り込んできたのは青井と赤井だ。大丈夫か？と守が声をかけると、二人は困惑する。
涙をボロボロと浮かべ、赤井と青井は守に突っ込んだ。
守｢おぐふっ｣
鳩尾に二発。二人の肘が入る。
守｢…｣
小さな青と赤に手を伸ばして撫でる。
聞こえて、感じる。
ずっと伝えたくて伝えられなかったことを、伝えられる手段が増えた。
守(ずっと、姉貴には苦労させてたからなぁ…)
退院したら、まず伝えよう。
瞳を閉じる。
長いまつげに、微かながらホコリが落ちた。雪のようだ。
蓮｢…A？｣
錯覚してしまうほどに、美しい。
神から気に入られた子や、麒麟児と言われたあたしの唯一の弟。
蓮(もしも、守が歌えるようになったのなら)
騎士団の団長は、守になるのではないだろうか。
蓮｢…｣
蓮は視線を横に流した。
蓮(私は、守を受け入れる事は…できるのか…？)
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作者名：�� | 作成日時：2017年7月25日 10時
