第107話 ページ30
舞台裏、控え室にて。
ヴァイスの執事が近づき、ペッドボトルを渡す。ヴァイスは無言でそれを受け取り、一口飲んだ。
ｳﾞｧｲｽ｢…｣
｢お嬢様？｣
ｳﾞｧｲｽ｢私は本当に、Aの目に映っているのかしらね｣
一つに結び上げた髪を解き、梳く。
ｳﾞｧｲｽ｢今のAは、私なんて目に入っていないの｣
｢ならば、一体誰が…？｣
ｳﾞｧｲｽ｢隣にいた、銀髪のワカメ頭…かしらね｣
｢Knightsの瀬名泉様ですね｣
ｳﾞｧｲｽ｢知らないですわ
羨ましい。
心の声は瞳から漏れ、執事の目に儚い少女を映す。
ｳﾞｧｲｽ｢でも、今は私の事なんて考えてる暇などありませんものね｣
立ち上がり、控え室を出ると同時に収集のアナウンス。結果発表だ。
ｳﾞｧｲｽ｢私が並ぶ前に、消えなければいいのですけれど｣
コツコツとヒールを鳴らして向かう中、執事が声をかけた。背後を振り返る。走ってきた人物は、今現在LEONのリーダーを務める、蓮である。
蓮｢ヴァイス！｣
ｳﾞｧｲｽ｢聞こえてましてよ。なんですの？｣
蓮｢守をっ、見なかった？｣
ｳﾞｧｲｽ｢マモル…タチバナマモル？Aの弟？｣
蓮｢そう！見なかった！？｣
汗を拭うことなくヴァイスの肩を強く掴む。執事が間に入り、ヴァイスと距離を取らせた。ヴァイスは腕を組み、眉間に皺を寄せる。
ｳﾞｧｲｽ｢私は見ていませんわ。ずっと控え室にいましたし｣
蓮｢声とか、音とかは！？｣
ｳﾞｧｲｽ｢スタッフの声くらいかしら。特に聞いていませんわよ｣
蓮｢そ、そうか…｣
変な様子にどうかしたのかと声をかける。蓮は特に何も、と首を振って会釈し、踵を返す。
ｳﾞｧｲｽ｢話せないことですの？｣
蓮の足が止まる。
ｳﾞｧｲｽ｢力になれるのならなりますわよ。敵であり、同じ仲間でもありますもの☆｣
蓮｢…Aには、内緒にしておいてほしいんだけど…っ実は｣
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作者名：�� | 作成日時：2017年7月25日 10時
