あんスタ【もう1人の転校生】9 (ページ20)

今日:9 hit、昨日:13 hit、合計:40,768 hit

第97話ページ20

コツンコツンと靴音が鳴って、差し込む光が影を伸ばす。

マントがバサりと波のように揺れる。

朱桜｢あれはっ｣

OX｢…｣

騎士の服を纏ったOXだ。

赤髪は少し伸びて、今は肩あたり。前髪はいつも通り左目が隠れ、右目は鋭く翡翠に輝く。

鳴上｢OXちゃんだわ！｣

月永｢なにっ！？｣

OXは睨んだ後、何事もなく去っていった。

凛月｢文化祭には、間に合ったみたいだね｣

瀬名｢そうね｣

頬に張っていたガーゼを引き剥がし、ぐしゃりと握りしめる。

OX｢…ぶっ潰す｣

貴｢…｣

真正面から対面した2人の間に無言の時間が流れ、バチバチと火花が散る。

音が遠のいて、耳鳴りが聞こえる。その後から、互いの声が響いてくるのだ。

─間に合ってよかった

─ウチを誰だと思ってんだよ

─そうね。簡単に死ぬやつじゃないのは確かだ

─負けるわけねぇだろ。おまえをたおしてない

OX｢それに、まだ夢を叶えちゃいない｣

貴｢うん｣

OX｢あの時言ったこと、忘れんなよ｣

あの時。きっとそれは、あの木の下で言ったことだろう。

貴｢うん｣

OX｢負けねぇよ｣

貴｢こちらこそ｣

すれ違う空間に金属音が響いた。剣先が触れ合ったのだ。

勝負の笛(ホイッスル)。

今ここに、新たな歴史が誕生しようとしている。

あたしの目の前に並ぶ5人の戦士達。

一人一人の顔を見る。なんとも頼もしい表情になってくれたことよ。

貴｢行くよ。あたしたちの最高のパフォーマンス、披露するんだ｣

肩を組んで、

貴｢楽しむよ！この瞬間を！！｣

『おう！！』

指を天に掲げる。

白い輝が、剣先を煌めかせる。