あんスタ【もう1人の転校生】9 (ページ19)

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第96話ページ19

辛い過去を一人で背負うことは無い。

分け合えばそれでいい。理解し合えばいい。

でもそれを使って潰されるのは大嫌いだ。

貴｢ミウラ｣

あんたは今、どこで何を見てるんだろうね。

静かな場所で、大好きな作詞を沢山しているのかな。

ここにもいるんだよ。あんたみたく、お節介焼きで、いっつもツンツンしててでも、優しくて。誰よりも他人思いなやつ。

そんなあんたに、あたしは惚れたんだよ。

一人廊下に出たあたしは、窓の外。ライブの準備が着々と行われる様子を見ていた。

何事もなく、一日が過ぎますようにと願いを込めて。

青井｢そうだ｣

守沢｢どうした？｣

いきなり身体を起こした青井を鳴上が支えながら、青井は焦った様子でそばにいた朔間弟の服を掴む。

青井｢私、A先輩に伝えなきゃいけない事があって｣

凛月｢なに？｣

青井｢実は、見つかったんです｣

朱桜｢見つかった、とは？｣

青井｢手紙です。ミウラさんが、最後に綴った｣

月永｢ミウラって…｣

青井｢鬼門の１期生はA先輩とOX先輩でした。その二人を裏で支えていた作詞家の七瀬ミウラさんの手紙ですっ！｣

未だ暗闇で静かに息を潜めていたその紙切れに光が差し込む。

こんな所にあったのねと、誰かが笑った。

そしてそれは無残にも引き裂かれ、ハラハラと花弁のように散って落ちる。

燃え盛る焼却炉の中へ落ちて、燃え滓が消える。

腕についた時計を見て、もうすぐ始まるわね…と呟いた。

七瀬｢ふふふ…今日でAの全てを手に入れられるわ…｣

不気味に微笑んだ彼女の手には、最後の切り札(カード)が既に開示されていた。