あんスタ【もう1人の転校生】8 (ページ11)

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第48話ページ11

貴｢ん？｣

ぼーっと空を眺めていたあたしの視界に影が入り、覗いた顔は見知った顔。そして、このサーフボードの持ち主だ。

羽風｢もしかして、またやられてた？｣

貴｢え？あぁ、落書き？｣

羽風｢ほっといて良かったのに｣

ある程度綺麗になったサーフボードを撫でながら、羽風があたしに笑いかける。その顔は、少し悲しそうでもあるけど。

貴｢べっつに。暑かったからやっただけだし｣

羽風｢もう、九月も終わるのに？｣

やかましいわ。と、ブラシの棒の先で羽風の脇腹をつつく。

羽風｢いててっ、あ、そういえばね｣

貴｢なに｣

羽風｢衣装破った子たち分かったよ｣

貴｢え？｣

犯人は影片のクラスメイトだそうだ。あたしとコラボするやなんやってことで妬まれたらしい。

その話を偶然聞いていた大神が教えてくれたそうだ。どうにかしようとしたものの、どうしようもできなくて報告しようとしたが間に合わず…。

羽風｢まぁその子たち、瀬名くんのお説教でだいぶこりたみたいだけどね？｣

貴｢瀬名？｣

羽風｢うん。真面目にやってるやつの邪魔するなって、Aに迷惑がかかるだろって。ね｣

そうなんだ。

なんだかんだ、いいとこあるじゃん瀬名。

羽風｢そういえば、文化祭は何するの？｣

貴｢え～？それはまだ秘密に決まってんじゃん？そのうち知るだろうけど｣

たわいもない話をしながら、サーフボードを磨いて行く。

なんだか水滴がキラキラしてて、宝石みたいだ。

滴る雫も気にせず、瀬名は木陰からペットボトルの飲料を握りしめたまま眉を寄せていた。