あんスタ【もう1人の転校生】5 (ページ9)

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第47話ページ9

瀬名｢何やってんの？｣

重なった見知った安心感に、顔を上げる。

舌打ちし、後ろに立っていた奴は走り去っていったようだ。

瀬名｢何あいつ…知り合い？｣

貴｢んなわけないでしょ｣

他家の塀を支えにしながら立ち上がる。怪我をしている膝を見つければ、瀬名が何これ！？と、屈んだ。

貴｢転んだ｣

瀬名｢はぁ？うっわ、気持ち悪い…いたそ～｣

貴｢痛いに決まってるでしょ！｣

瀬名｢たく…ほら｣

背中を向け、あたしの方を振り向きながら手を後ろに伸ばす。

貴｢は？｣

瀬名｢おぶってあげる｣

貴｢へ！？あ、いいよ！いいよ！｣

瀬名｢つべこべ言わずにさっさと乗る！｣

貴｢は、はい！｣

瀬名(ん？)

学校生活の中では普通に抱きつけるが、この時ばかりは怯えながら、瀬名の背中に身体を預けた。あ、ダジャレじゃって、デジャヴ？

ふんわりと宙に浮いた感じで、瀬名の香りがあたしを包んでいる気がする。

暖かくて、優しくて、不器用で、素直じゃなくて…。

『つべこべ言わずにいうこと聞きなさい！！』

貴｢ありがとう…｣

瀬名｢ん。いいよ｣

今はただ、その優しくて大きい背中に顔を埋めて全てを託した。

瀬名(…なんか、いつものAとは違う……？)

一つの違和感を、彼に残して。