あんスタ【もう1人の転校生】5 (ページ7)

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第45話ページ7

貴｢ふぅ｣

朱桜｢凄いですね！Aお姉さま！どこへ行っても、有名なんですね！｣

目を輝かせる朱桜の頭を撫でながら、ありがとうとお礼を言う。だが、月永は冷たい目つきであたしを睨んでいた。

気づいた朱桜が、どうしたんですか？と、若干怖気付いている。

月永が、握っていたシャープペンシルを顎に当てながらあたしの方を見、口を動かした。

月永｢お前、苦労者だな｣

朱桜｢Leader！？なんて言うことを言うんです！？｣

いきり立つ朱桜をなだめながら、そうだね、とあたしは伏し目がちに答えた。その返答に驚いた朱桜は目を見開いて、あたしを見ている。

貴｢朱桜には悪いんだけど…実際、困ってはいるのよね～｣

『人気者』で、『尊敬される人』で、『みんなの憧れ』っていうのを言われるのは悪い気はしない。むしろ、嬉しいことだ。

だが、静かにしたい時も、１人でいたい時も、必ず『周囲』がついてくる。

学生である以上は、生徒や教師、外に出ればファン。家に帰れば、記者や、テレビ局。

貴｢嫌なわけじゃないけど…やっぱ、こう…配慮っての？気遣いっていうか…遠慮してほしい部分は多々あるよ｣

朱桜｢A…先輩……｣

疲れたように笑う。テーブルに肩肘をつき、前髪をかきあげながら頭を抱えた。

どこへ行っても、『ルール』がある。

その範囲内から飛びなさなければ何をしたって構わない。

貴｢でも、極一部が守らない｣

朱桜の頬を撫でながら、赤毛の髪を耳にかけてやる。

貴｢楽しい以上の苦しみは、裏だけじゃないんだ。表にもあるよ。苦しいことがあったら言いに来な？あたしが、なんとかしてやる♪｣

朱桜(お姉様の笑顔は……)

何故か、くたびれていて、キラキラとした輝きをまとってはいなかった。