あんスタ【もう1人の転校生】5 (ページ6)

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第44話ページ6

貴｢ん？｣

あたしの隣に立っていたのは可愛らしい女の子。

纏う空気は天使のようだ。

｢きっ、鬼門の、橘…Aさん、ですよね？｣

貴｢え？あー、うん｣

｢わぁあ！会えて感激です！あ、ッ握手、してくれませんか？｣

震えながら差し出される白く細い手に、いいよと微笑を浮かべながら静かに握り返す。

興奮しながら、その女の子は目に涙を浮かべて何度も何度も『ありがとう』と頭を下げる。

貴｢そんなに泣かなくてもいいじゃないの｣

席から立ち上がり、小さな輪郭をとめどなく流れる涙を拭ってやる。

だが、そのやりとりが騒ぎを起こさせた。

周りがざわめいている。

『鬼門のリーダー？』『うそ、ホンモノ？』『えー
カッコイイ！しかも、チョー美人～』『握手俺もしてもらおうかなぁ』『ていうか、オルドルのリーダーでもあるじゃん』

『じゃあ、現役アイドルだ！すごぉい！』

痛い言葉、だな。

ざわめきは大きくなる。店内だけではなく、外からも見物客がいる。

このままでは、あたしだけではなく朱桜と月永にも、店にも迷惑がかかるな…。

貴｢悪いけど、プライベートだから…これでよろしく☆｣

人差し指を口元に立てながら、片目を瞑る。

ズキューン！と、いう効果音がつきそうな程に、みんな心臓を抑え、言葉無く首を縦に振り、自分の席へと戻っていく。