あんスタ【もう1人の転校生】5 (ページ30)

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第68話ページ30

瀬名｢王様。どういうことぉ？｣

月永｢ん？だから…｣

貴｢ストォップ！！！｣

月永の口を無理やり塞ぎ、黙らせる。あたしの腕の中でモゴモゴとしていて擽ったい。

怪しんでいる瀬名があたしを睨めつけながら、どういうことぉ？と追いうちをかける。あたしは、行き場のない視線を泳がせるだけ。

鳴上も何なのぉ！？っと、興味津々に近寄ってきた。朔間弟は寝ているけど。

瀬名｢あんたがOKしたから、俺達は仕事をもらえたって事なの？｣

貴｢あ、ちっちがっ｣

朱桜｢私たちにお仕事が来たのでは、無かったんですか？Ra*bitsのunitにも？｣

貴｢あっ…｣

小さな男の子の姿に背を向けたくなる。その、悲しそうで、どこか無関心だけれど追求したい正義みたいな。

そんな目で、あたしを、見ないで。

みんな、段々と離れていく人は離れていった。仕事も、アイドルとしての活動も、あたしがいたからあるものだった。

だから、友人なんて関係はほとんど無く、利用されていた。あたしは、良い釣りの餌だったのだ。

だからみんな、ご機嫌伺いで頭を下げて……でも、クラスメイトとユニットメンバーだけは、あの子だけは、違った。

昔の思い出にすがりついてしまっていたことに気づき、朱桜を見つめ返した。

でも、紡ぐ言葉は思いつかない。苦しい時間が流れていくだけ。

そんな時に、救いの声が届いた。

瀬名｢…なら、Aに感謝しなくちゃねぇ？ついでにその仕事で、俺達の凄さを見せつければいいんだしぃ？｣

『つーわけで。Aより凄いパフォーマンス考えなきゃねぇ～♪』

瀬名｢抜かしてやるよ。あんたの背中｣

差し伸べてくれる救いの手は、こんなにもすぐ近くにあったのに。

宣戦布告の強い笑顔は、あたしの鼓動を大きく揺らした。