24話 ページ25
莉犬 side
「もう、関わるのやめよう」
少し震えているその薄くて形のいい唇は、はっきりとそう言った。
俺が今日の放課後もどこかに行かない?と誘っている言葉を遮ってそう言った。
り「俺、なんかした?」
理由が見つからなかった。
だって今日の朝までは普通だったし、俺の前では泣いてくれたし、助けだって俺に求めてくれた。
好きまではいかなくても、嫌われてはいないと思っていた。
なんで?なんで?
そんな小学生並の言葉しか頭に浮かばないほどに俺は焦っていた。
「もう、一緒にいたくない」
細くて小さな声だったけど、ハッキリとした拒絶の言葉。
ダメージがでかすぎた。
その時の俺には受け止めきれなくて、気づけばチャイムが鳴って、気づけば教室に戻っていて、気づけば午後の授業も終わっていた。
俺がなにか、無意識のうちに彼女を傷つけることをしてしまったんだろうか。
誰よりも優しくて、誰よりも繊細だから
俺の知らないうちに傷つけてしまっていたのかもしれない。
でも、じゃあなんで
『もう、一緒にいたくない』
今でも頭の中をグルグル回っている拒絶の言葉
なんであんな泣きそうな顔して言ってんだよ
拒絶するなら、表情も態度も声色も
身体の全部で俺を拒絶してほしい
いつの間にか頭の中全てが君でいっぱいになるくらいに埋め尽くされている。
もう誰もいなくなった教室で机に突っ伏してゴン、と頭をぶつける。
り「痛った…」
君は今、何をしてるんだろう
泣いてないかな
1人じゃないかな
窓の外はだんだんと曇ってきていて
こんな空の下でも君が笑顔でありますようにと願うばかりで、
でも俺は知ってる。
まだ出会って間もないけど俺は知ってる。
いつだって人の事を考えて、いつだって自分は後回しで、人一倍寂しがり屋なくせに、それを誰にも見せようとしない。
気づいたら足は外へ向かっていて
少し冷たくなった向かい風が邪魔をするばかりだった。
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あうら(プロフ) - 花さん» こちらこそありがとうございます! (2021年3月30日 20時) (レス) id: 112c0791ec (このIDを非表示/違反報告)
花 - 最高なお話をありがとうございます! (2021年3月30日 19時) (レス) id: f4df643b91 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - えっえっ大丈夫?泣くよ?お父さん………私のお父さんも中々家に帰ってこないんだ…仕事だから仕方ないんだけどね、普通に優しいし。帰ってきても夜中だし、休日だってほとんど居ない。でもこの小説に出てる子はそれよりもっと……。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - あうらさん» こちらこそありがとう!素敵な作品、いつも楽しんで読ませてもらってます。笑 更新されていない間も何回か読み返してたんだー!笑 (2020年12月20日 21時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 更新ふぁいとーっ! (2020年12月20日 21時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あうら | 作成日時:2020年4月15日 23時