22話 ページ23
カーテンから射し込む暖かな光にあてられて目を覚ます。
なんだが身体が重くてゆっくりと起き上がる。
私昨日、どうしたっけ
少なくとも自分でベッドに入った記憶はない。
そのままヨロヨロとリビングに向かうと莉犬くんがソファーでくぅくぅと気持ちよさそうに眠っていた。
…そうだ
昨日、莉犬くんが会いに来てくれたんだ
みっともなく泣いた後、泣き疲れて眠ってしまったのだろう。
もしかして莉犬くんがベッドまで運んでくれたのかな
そう考えた瞬間、ただただゾワゾワと嫌な悪寒に襲われた。
だって、あんな細い腕に自分が運ばれたと思うと…
折れてないよね…大丈夫だよね?
心配になって寝ている彼の腕をぺたぺたと触り確かめる。
り「……寝込み襲うなんて趣味悪いね」
気だるげにこちらを見つめる莉犬くんと目が合った。
「い、いつから起きてた!?」
り「いや今さっきだけど…」
「別に襲うとかそういうのじゃなくて…!」
必死に弁解すると莉犬くんはニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべる。
り「ちなみにAちゃん自分でベッド戻ったよ」
それを先に言ってくれ…
全身の力が抜けるような脱力感と安心感から思わず頭を抱える
「…ソファーで寝かせちゃってごめんね、朝ごはん食べてく?」
り「いや、俺1回荷物取りに家帰んないと!Aちゃんの姿見れて安心したし、すぐ家戻って学校行くよ」
そう言って優しく笑う莉犬くんはソファーから起き上がると1つ大きな伸びをした。
り「じゃ、また学校でね」
顔を洗って髪を軽く整えて、外に出る最低限の準備を済ますと莉犬くんは手をヒラヒラと振って玄関を出ていった。
私のわがままで夜にわざわざ会いに来てくれて、一緒にいてくれて、次の日1度家に帰らせてゆっくりする時間もなく学校に行くだなんて
なんだかとても申し訳ない気持ちになる。
何かお礼をしなきゃと思うけどあいにく家にはお菓子の1つもない。
今日学校で聞こう。
そしてお礼をしてお別れをしよう。
彼みたいな素敵な人が私みたいな人間に縛られるなんてあってはいけない話だ。
今日で、最後。
私は大きくため息をついて学校へ行くための支度を始めた。
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あうら(プロフ) - 花さん» こちらこそありがとうございます! (2021年3月30日 20時) (レス) id: 112c0791ec (このIDを非表示/違反報告)
花 - 最高なお話をありがとうございます! (2021年3月30日 19時) (レス) id: f4df643b91 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - えっえっ大丈夫?泣くよ?お父さん………私のお父さんも中々家に帰ってこないんだ…仕事だから仕方ないんだけどね、普通に優しいし。帰ってきても夜中だし、休日だってほとんど居ない。でもこの小説に出てる子はそれよりもっと……。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - あうらさん» こちらこそありがとう!素敵な作品、いつも楽しんで読ませてもらってます。笑 更新されていない間も何回か読み返してたんだー!笑 (2020年12月20日 21時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 更新ふぁいとーっ! (2020年12月20日 21時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あうら | 作成日時:2020年4月15日 23時