19話 ページ20
莉犬side
『ちゃんと家にいる?』
何気なく送った一言。
ちょっと不安になったんだ。
彼女を家に送り届けたあと、ドアの奥に消える瞬間に見えた表情。
爆発しそうなくらい大きな悲しみ、いかり、苦しみ、とにかくいろんなものが混ざりあって
今にも消えそうな顔してた。
怖くなったんだ
明日学校に行ったら君が居ないかもしれない
最悪な未来を想像した。
しぬのは悪い事だとは思わない。
もう希望すらない人に「生きて」なんて上っ面な言葉をかけている人を見ると頑張ったんだからもう苦しさから解放してやれよって思う。
でも彼女にはまだ希望がある。
俺が君の希望になる。
なんてくさいことは言えないけど、1人じゃないよ、俺がいるよって伝えたかった。
いつの間にかこんなにも彼女への想いが大きくなっていたんだ。
出会った時、瞳の奥に隠しきれない哀愁を漂わせながらも強く気を持っていた彼女。
人前で感情のコントロールが出来なくて焦りながらも俺の前でホッとしたように涙を流した彼女。
屋上でほんの少し、目を細めて美しく笑う彼女。
帰り際の、絶望しきった彼女。
そんな顔しないでって涙を拭ってやりたい。
1人じゃないよって抱きしめてやりたい。
さっき送り届けたばかりなのに会いに行くのは重いかなあと思って、少し時間を開けてLINEを送った。
そのままLINEを閉じてケータイをいじっていると上の方に音を立てて通知が表示される
『会いたい』
その一言と彼女の名前が見えた瞬間に通知をタップし彼女とのトークを開くけど、既にその文字は送信取り消しされていた。
君からのSOSを見逃さなくて良かったと心の底から思う。
俺も今、どうしようもなく君に会いたい。
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あうら(プロフ) - 花さん» こちらこそありがとうございます! (2021年3月30日 20時) (レス) id: 112c0791ec (このIDを非表示/違反報告)
花 - 最高なお話をありがとうございます! (2021年3月30日 19時) (レス) id: f4df643b91 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - えっえっ大丈夫?泣くよ?お父さん………私のお父さんも中々家に帰ってこないんだ…仕事だから仕方ないんだけどね、普通に優しいし。帰ってきても夜中だし、休日だってほとんど居ない。でもこの小説に出てる子はそれよりもっと……。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - あうらさん» こちらこそありがとう!素敵な作品、いつも楽しんで読ませてもらってます。笑 更新されていない間も何回か読み返してたんだー!笑 (2020年12月20日 21時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 更新ふぁいとーっ! (2020年12月20日 21時) (レス) id: 2b9e869a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あうら | 作成日時:2020年4月15日 23時