検索窓
今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:460,619 hit

35話 ページ36

到着したころんくんの家に入ると中は真っ暗で静まり返っていた。




早退したから当たり前なんだけど。






ころんくんは素早く電気をつけてくれて中に入れてくれる。








「本当に早退しちゃって良かったのかな…」






何かいけない事をしている気分で、なんとなくその言葉を口にする。







こ「早退くらいでおおげさw僕なんてだいたい遅刻か早退」







ころんくんは自慢げにそう言う。






全然自慢出来ることじゃない、と心の中でツッコミを入れるが実際はふふふと笑うばかりだ。







こ「服とか洗濯しとくから貸して?後お風呂はいってきていいよ」








ころんくんがそう言いながら私の濡れた制服が入った袋を受け取る。









こ「お風呂上がりの服はまた莉犬くんのでいい?」








莉犬くんの…









もちろん、嫌という訳では無い。






でも…





私は今来ているころんくんのジャージを見つめる。







「こ、このジャージじゃ…ダメですか…?」





ころんくんに包まれているような気がして、手放してしまうのが惜しい。





最初はキョトンとしていたころんくんも、その言葉の意味を理解したのか


徐々に顔が赤くなっていく







こ「ぇ…あ、いいよ…」




顔に熱が集まってくるのを感じながら「じゃあお風呂借りるね」と言って洗面所に逃げ込む。



冷えた自分の手を頬に当てれば熱が吸い取られていくように消えていく。




ふぅ、と小さなため息をついて私は鏡の中に映る自分を見つめる。




少し大きめのジャージを着ている私にどこか安心感を覚える。





ころんくんがそばにいるような気がして、だらしなくも頬のネジを緩ませていると頭に激痛が走った。






「っ…!?」






テレビの砂嵐のような音が耳元で流れる。









何かが見えたり、分かったりしたわけじゃないけど






ああ、なるほどな。私はこういう風に生きてきたんだ。







と、記憶にない何かに納得してしまった。









怖い









自分の知らない何かが、自分の知らないところで動いているような感覚。









…思い出したくない。









私はその記憶や音を振り払うかのように首を振り、暖かい温もりを捨ててお風呂に入った。

36話→←34話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (224 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
582人がお気に入り
設定タグ:すとぷり , ころん
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うい(プロフ) - 凄く「今夜、世界からこの恋が消えても」と似てて小説の発売日と照らし合わせたら主さんの方が先にネタ思いついてて腰抜かしました…めちゃくちゃ面白いです😸💞 (2023年2月21日 2時) (レス) id: ed6dd285e5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち - ころんくんが家に泊めるときになーくんに電話してたときの泊めるの字が止めるになってましたよ 上から目線でごめんなさいm(_ _)m (2022年5月17日 6時) (レス) @page29 id: 2e0541f151 (このIDを非表示/違反報告)
白玉 - そうです! 一度検索しみて下さい。 (2019年5月5日 11時) (レス) id: 0b503add46 (このIDを非表示/違反報告)
あうら(プロフ) - 白玉さん» テレビか本とかですかね…? (2019年5月4日 21時) (レス) id: 5af2deacde (このIDを非表示/違反報告)
白玉 - これ読んだ瞬間「掟上今日子の備忘録」っていうの思いだした (2019年5月4日 20時) (レス) id: 0b503add46 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あうら | 作成日時:2018年10月14日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。