異常な程の愛情を。【カリム・アルアジーム】

19.愛してる ページ20

8月18日13時




「うっわ、すっげぇ〜」


「流石、熱砂の国の大富豪ですね」


「この装飾品一体いくらするんでしょうか…」




屋敷の中に入って来たリーチ兄弟とアズール。
久しぶり会った級友達に嬉しくなって3人に駆け寄る。




「よお！久しぶりだな！」


「あ！ラッコちゃん！ねぇギュってしていーい？」




「いいぞ」という前にフロイドに抱き上げられ、身長差の為か体が数センチ浮いた。




「フロイド、うちの主人を降ろしてくれ」


「え〜。あ、もしかしてウミヘビくんもギュってして欲しいの？」


「はぁ？そんなわけ…おいッ！？」




断ろうとしたのに抱き上げられたジャミルがフロイドに牙を剥く。それを見てアズールとジェイドは苦笑していた。




「カリムさん、他の方々はもうホールに？」


「いや、宴は17時から始めようと思ってるからまだ皆んな部屋にいるよ。お前達も部屋に案内しないとな」




そう言って側に居た侍女に「案内しろ」と命ずると、3人の侍女はアズール達の荷物を受け取りゲストルームに向かって歩き出した。その侍女の後を追ってアズール達も廊下を歩いて行く。

級友の姿が見えなくなると、フロイドに抱き上げられ不機嫌そうにしていたジャミルを呼び寄せる。




「ジャミル、後は誰が来る？」


「リドルと…シュラウド兄弟、レオナ先輩にラギー。それとエペルだな。
てかこれ、同窓会というよりただの集まりじゃないか？」




手元の名簿を見ながらそう言うジャミルに今度は俺が苦笑した。
最初は同窓会のつもりだったのだが、呼び掛けをする内に学年が違う者にまで話が流れて結局仲の良かった寮長達や後輩達を呼ぶことになったのだ。




「旦那様。キングスカラー様よりお電話があります」


「ああ、ありがとな」




俺付き采女の1人から携帯を受け取り耳に当てる。




「何だって？」


「レオナとラギーは30分程遅れるらしい。なんか会議があるんだとよ」




通話を終えて携帯を采女に返すとジャミルにそう聞かれて事を伝える。
現在レオナは国王第一補佐、ラギーは国王第一補佐の側近という立場にいる為会議に出席せざる得ないらしい。
最初は500人近く呼んでいた宴も、キャンセルや遅れで最初から来る事が出来るのは300人程だ。殆どの人が来れるのが今日しか無かったと言っても随分減った。
……それにしても、




「(ファナが居ないな)」




屋敷を見渡しそう思う。
朝部屋で見てからファナを見ていない。一体何処に居るんだ。

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