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家にいてもする事ないなーと思い、少し外を散歩してみることにした。
あまりいろんなところへ行くと道に迷ってしまうかもしれない。
なんてったって俺がここへやって来たのは5年ぶりだ。
小学5年生以来、ここへは来ていなかった。
幼き頃の記憶なんて当てにしてはいけないなからな。
道に迷わない程度で歩き回れるところなんてあるだろうかと考えを巡らせると、思い出す。
車窓から見たひまわり畑。
たしか駅からそんなに遠くなかったはずだ。
まず駅に向かって、それから線路沿いに進めばひまわり畑が見えてくるだろう。
ばあちゃんとじいちゃんに外へ出ることを伝え、俺はスニーカーに足を通した。
強く刺さる日差しに焼かれながら歩く。
こんなに日差しの強い場所にいたら、1週間で真っ黒になってしまいそうだ。
日差しとセミの声が相まって、さらに暑さを感じさせた。
来た道を戻るように歩くと駅に到着した。
それから線路沿いに進む。
歩きながらぼーっとひまわり畑を思い出す。
一斉に太陽へと顔を向ける姿がかわいかったな。
昔、あのひまわり畑に行ったことがある。
その時はまだ身長が足りなくて、ひまわりが俺の背を越していた。
だからその頃はひまわりをキレイともかわいいとも思わなかった。
むしろ植物のクセに自分より背が高いのが気に食わなかった。
子どもだから、いつかはひまわりより大きくなってやるんだ!なんてバカげた考えをしていた。
ホントに子どもって純粋でおかしな生き物だ。
ぼんやりと昔の思い出に思いをくゆらせていれば、気づくとひまわり畑に着いていた。
今ならひまわりを見下ろすことが出来る。
子どもさながらに優越感というものを感じ、心の中でひまわりに向かってしたり顔なんてやってみたり。
高校生にもなって、そんなアホなことをするとは思っていなかった。
1人恥ずかしくなりつつも、気を取り直してひまわりを見渡す。
一面の黄色が眩しく輝き、正に夏を表すのに最適だと思った。
花の匂いを一気に吸い込むと、なんだか幸せな気分になった。
もう少し見たら帰ろうか、そう思った時だった。
……
『シャオちゃん?』
振り向けばそこには、麦わら帽子に純白のワンピースを着た少女が立っていた。
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作者名:煽田 -アオタ- x他1人 | 作成日時:2020年8月1日 22時