13話 ページ13
金曜日、放課後。
俺は右手に教科書、左手に筆箱を握りしめ、図書室に向かう廊下をかけていた。
途中ですれ違う先生に「歩け」と促されるのも気にせず走った。
せっかくの金曜日、部活も休み。それに今日は予定があるっていうのに、そんな日に限って担任から雑用を頼まれた。
担任の頼みを断るほど俺はやさぐれてないから、ちゃんと真面目に雑用をこなした。
やっと着いた図書室。距離的には近いはずなのに、今日はやけに遠く感じた。
扉を開け中に入ると、Aが先に教科書を開き勉強を始めていた。
そう、今日はいつだったかにお願いした、英語を教えてもらう日なのだ。
『すまん、担任に雑用頼まれとって遅れてもうた』
「ううん。全然大丈夫やで」
これから始まるのは、俺の苦手な勉強なはずなのに、なんだかワクワクしている自分がいた。
「じゃあ、さっそく始めてええ？」
『おん。ええで！』
俺がいつもの席に着き、教科書やノートを開いていると、ふたつ隣の席に座っていたAが席を立った。
そしてそのまま俺の左隣の席に座った。
びっくりして反射的に、えっ！と声を出してしまった。
「あー、あかんかった？
でも、席離れとると教えられんし」
『ぁあ…いや！ちゃうねん。
その、びっくりしてもうただけで、イヤとかそういうんやない……から。』
「そお？」
今まで離れていた距離は、いとも簡単に縮まってしまった。
きっと、最初からこの距離感を気にしていたのは俺だけだったんだ。
彼女は席なんてどこでもよかったんだろう。
たまたまAと俺が座った席が、ふたつ隣だったってだけなんだ。
俺だけ空回りして、一生懸命悩んで…。
って、俺ってヘタレなんかな。
いつかAの隣に、意味なんてなく座れるだろうか。
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煽田 -アオタ-(プロフ) - しゅうさん» あ！ありがとうこざいます！！更新頑張ります！ (2020年4月24日 22時) (
レス) id: 83eb485547 (このIDを非表示/違反報告)
しゅう(プロフ) - knさんと主人公ちゃんが徐々に仲良くなっていく姿が見ていて微笑ましいです！ これからも更新楽しみにしております。 (2020年4月24日 22時) (レス) id: 82e33cb278 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煽田 -アオタ- | 作成日時：2020年4月16日 23時
