3話 ページ3
トントンへ依頼する場合は、自分が何者なのかを示すという暗黙のルールがある。
しかし今回の手紙には名前などの個人を示すものがなにもなかった。
「怪しいやつ。断るか……。でも。」
トントンは断ろうかと考え、それからひとつ思い出した。
「そういやアタッシュケース。普通のよりデカイけどどれくらい入ってんねやろ。」
そう、依頼料だ。
普段の依頼で、アタッシュケースに依頼料が入っていることはよくあるが、今回は普段よりも一回り大きかったのだ。
もちろん持ち上げたとき、それ相応の重さがあった。
アタッシュケースを開ける。中にはいっぱいにしき詰められた紙幣。
カネ優先で仕事を選ぶ彼の心は揺らいだ。
「ん〜。身元の分からんやつからの依頼。危険やなー。でもカネあるし。」
腕を組みながら悩む。
暫く悩んだ末、とりあえず偵察をしてみる、という結論がでた。
依頼料が高額、ということが一番の決め手にはなったが、少し興味がそそられる、というのも一つだった。
「β国の情報を集めつつ、お姫さんの城をのぞいてみっか。
怪しそうやったらやめればええし。」
彼には死なない、という絶対的自信があった。
その自信はきっと彼の経験からくるものだろう。
人並み外れた身体能力と、頭脳。経験からの勘。など、彼にはたくさんのものがあった。
彼がもし「自分は人ではない」と言ったとしても、まわりの人間はあまり驚かないだろう。
カネの入ったアタッシュケースから目を離し、もう一度宛名のない手紙を見る。
「……にしても、救うって具体的なことなにも書いてへんなぁ。
てか救うってなんや？
殺すんちゃうんか。」
"裏"の世界で生きてきたトントンは今まで一度も、人を救って欲しいという依頼を受けたことがなかった。
ほとんどがコロシの依頼だったためだ。
殺した人間の量は、数知れず。
救うという善意の心はとうの昔になくなってしまっていた。
自分がこの世界に入ってしまった経緯さえ、もう覚えていない。
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煽田 -アオタ-(プロフ) - 瑠璃色さん» あざす！ 私の心に抗えず書いてしまった…。（後悔はしてない） (2020年4月25日 23時) (
レス) id: 83eb485547 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色 - 本当最高です！tn推しには堪らんかった…めちゃくちゃかっこよくて勝手に惚れ(て)ました…！凄く面白かったです！ (2020年4月25日 23時) (レス) id: c2d58851d0 (このIDを非表示/違反報告)
煽田 -アオタ-(プロフ) - ASAHIさん» 本当ですか！ありがとうございます！かっこよく書けたのか心配だったのでコメントもらえてめちゃくちゃ嬉しいです。！ (2020年4月22日 0時) (レス) id: 83eb485547 (このIDを非表示/違反報告)
ASAHI(プロフ) - かっこよかったです…!!めっちゃかっこよかったですよ!!面白かったです! (2020年4月22日 0時) (レス) id: 56ce4f6b01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煽田 -アオタ- x他1人 | 作成日時：2020年4月8日 20時
