【d!】貴方だから、君じゃないと【em】 (ページ7)

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7話ページ7

『あ、そういえば、昨日友達と話してるときに2人は付き合って何年？って聞かれたんですよ。考えたら4年で、もうそんな経つんだなぁってなんかしみじみしちゃいました』

ただ思い出したから言ってみただけなんだけど、エミさんはどこかを向いたまま黙った。

『あ！結婚の催促とかじゃないですからね？！』

まさか私が遠回しに結婚の催促をしているのでは、と考えたんじゃないかって焦る。

黙っていたエミさんはチラっと私を見て、恐る恐るといった感じで聞いてくる。

「Aさんはプロポーズにムードが必要やと思いますか？」

『え、…ムードですか？』

不思議な質問だ。

「例えば思い出の場所で、とか夜景の綺麗な場所でのプロポーズがええなとか」

『ん～、そういう願望は特にないですね。プロポーズはどんな場所でもきっと嬉しいでしょうし』

好きな人から一生傍にいてほしいとお願いされるのだ。そんなのどこでだって嬉しいに決まってる。
ムードなんてなくても、プロポーズした後に自然とできちゃうんじゃないかな。

「なるほど。あのAさん、ちょっとこっち来てくれますか？」

『え？』

おもむろに立ち上がったエミさんは少し広い場所に移動して、手招きした。

私は言われた通りエミさんの前に立つ。

なんだか顔が強ばってるエミさん。

ああ、こんなのいやでも察しちゃうよ。
どうしよう、言われる前に泣きそうだ。まだ言われてないのに嬉しくて。

「……Aさん！」

エミさんはポケットから小さな箱を取り出す。

パカッと開かれた箱の中にはキラキラと眩しく輝く指輪。

「これからも一緒に生きて行きましょう。

…わたしと結婚してください」

『はい！喜んで！』

途端に溢れ出す涙は、嬉しくて嬉しくてたまらないから。

ケースから指輪を取ったエミさんは、私の左手を優しく握る。

それからそっと薬指に指輪を通した。

ぴったりとハマった指輪は綺麗で、眩しくて、幸せを噛み締める。

どうやら私の涙腺は涙を止めるつもりがないらしい。
あまりに私が泣くもんだから、さすがのエミさんも笑ってくださいよ～、と苦笑い。

『ん、ごめんねエミさん。ほんとに嬉しくて』

やっと少しずつ涙が止まり始める。

「泣いて喜んでくれるのも嬉しいですけど、笑ってくれるともっと嬉しいです」

『ふふ、そうですよね！』

今できる最大の笑顔を大好きな旦那さんに向ける。

そして優しくハグをする。