4話 ページ4
いつもより少しだけ気合いの入った服。
今日はどんな服がいいかな、なんて1時間前から考えて、決めたのはエミさんから誕生日プレゼントにもらったワンピース。
腰の部分はキュッと締まり、袖先が少し開いてる。大人なデザインで、とても気に入っている。
このワンピースをくれたとき、女性服のお店に入るのも緊張したし、どんな服がいいのか考えるのも手間取った、とエミさんは笑っていた。
一生懸命選んでくれたのが嬉しくて、あと想像以上にセンスがいいのにもキュンときてしまった。
ワンピースのスカート部分を少し持ち上げ微笑む。
よし、と小さく気合いを入れてチャイムを鳴らす。
少しして開いたドアからはいつも通り楽しそうな笑顔を見せる彼が出てきた。
「いらっしゃいAさん！」
『こんばんは！エミさん』
どうぞどうぞと招かれ、エミさんのお家へ足を踏み入れる。
すっかり見慣れたはずのエミさんのお家も今日はなんだか変わって見えた。
『エミさん。ちゃんと手作り料理、持ってきましたよ！たくさん食べてくださいね！』
「本当ですか！もちろんたくさん食べますね！」
家で作ってきたローストビーフやラザニアを机の上に乗せる。
うん、上出来！
「Aさんの作る料理はいつも美味しそうやなぁ。まあほんまに美味いんやけど」
『えへへ、ありがと！』
エミさん、褒め上手だからついつい嬉しくなって手料理いっぱい作ってあげたくなっちゃうんだよねー。
「それにしても、ほんまにどっか出かけんくてよかったんですか？」
『うん。たまにはいいでしょ？のんびり過ごすのも』
「まぁそうやね。Aさんとだったらどこでも楽しいし」
『またそうやって…。恥ずかしくないのが不思議ですよ』
「え！何がですか？」
天然なのか、、実は策士だったりして。
って、エミさんに限ってそれは無いか。たぶんほんとに思ってくれてるんだと思う。
どこまでもステキな人。
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作者名：煽田 -アオタ- x他1人 | 作成日時：2020年12月24日 21時
