【d!】貴方だから、君じゃないと【em】 (ページ1)

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1話ページ1

12月24日。今日はクリスマスイブ。

昔ながらの友人の沙苗と真紀の3人で宅パーティーをしている。
会場は沙苗ん家。

机いっぱいに乗せられたピザやビール缶、チキンの数々。
口いっぱいに頬張って、ほんと幸せだよ。

「あ"～～。楽し～。明日もこんなんだったら良かったのに」

少しお酒が回ってきたのか、真紀がビール缶を握りながらそう呟く。

「あー、なんかゴメン」

沙苗と私は思わず苦笑い。
なんだか悪い事をしてる気になってくるよ。

「いーよ。どうせ君らは明日彼ピッピとデートなんでしょ？デート。
クソ～なんで2人には彼氏がいるのに私にはいないんだ！！」

『真紀は美人だからすぐできるって』

「それ高３の時にも聞いた」

『あ～、ははは』

強すぎる反論になぐさめ1つ思いつかなくなった。

でもな～、真紀が美人なのは本当だし、高校生の時だって真紀のことが好きな男子がいるってウワサは時々聞いてたんだよなー。

「あたし、真紀に彼氏ができない理由知ってる」

『え、ほんと？』

「うん」

勝ち誇ったように笑いながら沙苗が真紀を見る。

沙苗は立ち上がり、キッチンへ向かうと、冷蔵庫を開けながらリビングの私たちに質問してくる。

「聞きたい？」

『うん聞きたい』

「…まあ、」

理由が思いつかない私は聞きたいと即答するけど、当の本人は微妙な反応。

チューハイやらビールを抱えて帰ってきた沙苗は先程から変わらない笑顔で話し始める。

「真紀ったらほんとは分かってるくせに～。彼氏ができないんじゃなくて、つくってないだけでしょ」

「いやぁ～…」

『え、そうなの？！』

待って知らなかったんだけど。
つまりあれか。告白はされるけど断ってたってことか。

「まあ分かるよ。今まで真紀を好きになった男ってだいたいダメ男だったもんね」

ねぇ、え？それも初耳。
あれ？いつも3人で一緒だったよね。なんで私だけそれ知らないのよ。

真紀はビールを飲みきりチューハイを開ける。

「男運ないのよ私。だからもう恋する気無くなったって言うか」

『えー、最近いいなって思う人いないの？』

「いない…わけではない、けどさ。
失礼だけどきっとまたダメ男なんだよ」

『んー、そうかな？』

「名前とか、どんな人とか、教えてよ！」

「はぁ？やだよ｣

酔いが回っててもガードが硬いのは変わらないな。