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この程度のチンピラなど、わけはない。だが、すぐ側にはAが倒れている。私のスタンド能力は最強だと自負していたが_これが唯一の弱点とも言えた。
まずは、彼女をこいつらから引き離す必要がある。
渾身の力を込めて殴った男が、気絶しているのを目で確認すると、くちびるから垂れた血を拳で拭いながら顔を上げた。
「おいッ、テメェ〜!聞いてんのかよォ〜ッ!さっき、拳で触れなかったよなァ?なのに、なんで_‼」
言いかけた男の視線が、財布から出した札に釘付けになる。
「君、ここに_いくらあると思う?1万円札が何枚あるだろうか?」
「7枚だッ、ヘヘッ、おっさん、それ全部いただくぜ」
「ああ、もちろん構わない。ところで……君はこの金を、こいつと山分けするのかい?私だったら、全部、自分のものにするがね。だって彼は今、気絶してるだろう?こっそり全部持っていったって、わかるはずがないからね」
ゴクッっと男の喉が鳴った。
「ほら、全部、君のだよ。ポケットに早くしまいたまえ。これで彼にはわかりっこないさ。だが、あの男をほっとくのもいけない。ほったらかしにして行ってしまったら、後で恨みを買うかもしれないだろう?だから、彼を抱えてどこかで傷の手当でもしたらいいと思うんだ」
もしこれで動かなかったら、カードもつけるつもりだったが杞憂に終わった。気絶した男を抱えて奴が離れると、ポケットにねじ込んだ札を爆破させた。
「ぅ……」
「気が付いたか?」
「……あ……さっきの、人達は?」
「もういないよ。心配ない」
「っ……うぅっ」
今になって涙が出た。チンピラみたいな人達に絡まれて、吉良さんが来てくれなかったら、どうなっていただろう?
大人っぽい服を着て、恋人つなぎをしながらお店をまわって、夢のような気分だったのに__あの女性が現れて、自分はただの子供なんだと思い知らされた。吉良さんなんかと、釣り合うわけがない。自分の嫉妬した顔を見られたくなくて、咄嗟に逃げ出してしまったけど、吉良さんは追いかけて来てくれた。
「可哀想に、痛かっただろう」
私の頰に優しく触れた、大きくてあったかい、お父さんみたいな手……今までは、ずっとそう思っていた。吉良さんの手を、大好きなお父さんの手に重ね合わせて。でも、今は違う……。
私は……吉良さんのことが_
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パエリヤさん(プロフ) - やばいです!綺麗な文章で素敵です!ありがとうございます! (2022年1月31日 19時) (レス) id: a088706bb8 (このIDを非表示/違反報告)
よっちー - サイコーです!続きを楽しみにしてます! (2021年7月13日 14時) (レス) id: eac1b7e0ad (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - 更新多くて嬉しいです! (2021年7月11日 18時) (レス) id: 73f14cc594 (このIDを非表示/違反報告)
桜鯛(プロフ) - 凄く面白くて一気に2まで駆け抜けました。もっと早く知りたかった作品です…!今は友希を募集していないようなので、また再開したら必ずすっ飛んで行きます!お気に入り失礼します。 (2021年4月2日 1時) (レス) id: d34a88a9f2 (このIDを非表示/違反報告)
すみね(プロフ) - 本当に大好きな作品です。ありがとうございます。 (2020年7月26日 1時) (レス) id: 8a8e69e87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光 | 作成日時:2017年3月16日 20時