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「ジジイ、早く泣きやませねーと、部屋の物がみんな消えちまうぜ」
「おしめが濡れとるわい。突然、泣き出したのはこのせいじゃったか……それにしても、惜しいところでAさんを逃してしまったのォ。この後、どういう反応をするか見てみたかったんじゃが」
「まったく、悪趣味だぜ。くだらねェ」
ジジイが赤ん坊のおしめを替えながら、俺の手元を見たので答えてやる。消えかけていたハサミが現れ、またズボン切りを再開した。
「付き合い始めというのは、初々しくていいのォ〜。そうは思わんか？」
「興味ないな」
「やれやれ……わしの孫とは思えんくらい、恋愛の話には乗ってこんのォ〜」
「女はやかましくて、うっとおしいだけだぜ」
「しかし、Aさんはそういった類の人間ではないじゃろう？」
「さあな」
「案外、好みのタイプだったりせんか？」
「切り終わったぜ」
俺が無視したことによって、ジジイは顔を綻ばせた。否定しなかったので、肯定の意味と受けとったらしい。
どうでもいいことだが……確かに、ああいったタイプは嫌いじゃあないぜ。今まで散々うるさくて、うっとおしい女どもを見てきただけにな。
薬をつけ終わり、包帯を巻いて全てを終了させると、そっと布団をかけて目覚める気配のない男を上から見下ろした。
「この男を、どう思う？」
「そうじゃのォ、どうしてこれだけひどい怪我をしたのか、気にはなるのォ」
「似ていると思うか？虹村形兆に」
「言われれば似ているような気もするが……なにせ手がかりと言えば、この幼少の頃の写真しかないからのォ、なんとも言えんわい」
ジジイが顎をさすりながら答えた時、ノックの音が聞こえた。
「終わりましたか？」
「ああ、全て終わったぜ。もう入ってきても大丈夫だ」
赤ちゃん用の粉ミルクを抱えて、Aさんが部屋に入ってくる。
「おお、わざわざすまんのォ。お代はいくらかな？」
「いろいろお世話になったので結構ですよ。ミルク瓶も買ってきたので、さっそく作りましょう」
「いや、まだ腹は空いとらんようじゃ。さっき大泣きしたのは、おしめが濡れていたせいだったんじゃよ。だから、あんなに大急ぎでミルクを買いに行かんでも良かったんじゃが＿」
「Aさん」
ジジイがまた下らない話を蒸し返しそうだったので、それを遮り声をかけると、彼女は俺を見上げた。
「彼の名前は、なんて言うんだ？」
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パエリヤさん(プロフ) - やばいです！綺麗な文章で素敵です！ありがとうございます！ (2022年1月31日 19時) (
レス) id: a088706bb8 (このIDを非表示/違反報告)
よっちー - サイコーです！続きを楽しみにしてます！ (2021年7月13日 14時) (レス) id: eac1b7e0ad (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - 更新多くて嬉しいです！ (2021年7月11日 18時) (レス) id: 73f14cc594 (このIDを非表示/違反報告)
桜鯛(プロフ) - 凄く面白くて一気に2まで駆け抜けました。もっと早く知りたかった作品です…！今は友希を募集していないようなので、また再開したら必ずすっ飛んで行きます！お気に入り失礼します。 (2021年4月2日 1時) (レス) id: d34a88a9f2 (このIDを非表示/違反報告)
すみね(プロフ) - 本当に大好きな作品です。ありがとうございます。 (2020年7月26日 1時) (レス) id: 8a8e69e87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：光
| 作成日時：2017年3月16日 20時
