【d,!】自分が愛されるなんて思わないやん？２【k,n主人公】

バームクーヘンの危機４ ページ28

コネシマ視点

オスマンと話すのは楽しかった。ただ何気ない学園での話なのに、彼の口から零れ落ちる言葉たちは俺の興味を易々と惹きつける

それで？それで？と相槌を打ちたくて堪らなくなる。これが、彼の力。彼が努力の末に身につけた自分を守る力なのだと実感した

オスマンはゲームの中でも、とりわけ不憫なキャラだと言われていた。父親と母親の価値観は彼にとって合わず、やりたくないことを強制される日々。好きだった可愛いも綺麗も捨てられ、凛々しく生きろと嗜められる

ああでも、ゲーム通りならば。彼は、それをまだ乗り越えられていないのだろう

ヒロインの役目だ。攻略対象たちを成長させて、呪縛から解き放つのは主人公にのみ許された行為

オ「で、その時グルッペンがな、、」

コ「そんなことやるんやな、あいつ」

嗚呼、自分が嫌になる。彼の瞳に浮かんだその影を見つけていながら、ヒロインの役目だと言い逃げようとしている自分が、情けなくなる

オ「ま、トントンや兄さんに激怒されてたけどな」

コ「あははは！こりひんやっちゃなぁ」

オ「ホンマに。後始末面倒なんやけどぉ」

ぐたぐだと駄弁るだけ。その空間が心地いい

時折、彼の左手が俺の頭をそっと撫でていく。癖のあるぴょんと跳ねた部分を撫で付けるように触れ、戻らんなぁとクスクス笑った

オ「しばらくは食事も誰かと取ろうなぁ、シッマ。危ないめう〜」

コ「もうこんなことないやろ、、、大丈夫やって」

オ「あったら責任問題なんやけどな。誰やろな、うちの生徒会に喧嘩売ってきたアホは」

生徒会は勢力を上げて犯人？実行犯？を捜索しているようだった。無差別だったのだろうか、あの様子だと。誰があそこに座るかなんて分かるわけもない

いや

あの時、ヒロインはシフォンケーキに首を傾げた、はず。つまりこれはイベントだった、、、？

こんな危険なイベントあった記憶がない。アップデートしたことはなかったから、幾度かあったそこで追加されたコンテンツなのだろうか

これから先、もしやそんなイベントが増える、、？何と面倒な

心の中で頭を抱えた。俺を心配そうに見つめるオスマンを無視したまま

無言が続き、気まずくなりそうになった時、扉が音を立てて開かれた

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