【d,!】自分が愛されるなんて思わないやん？【k,n主人公】

オスマン編２ ページ42

コネシマ視点

両端に白くて細やかなレースがついたお洒落なもので、そのタオルは髪を拭く用のハンドタオルに思える

端っこに金色の糸で単語が刺繍されている。それをなんとか読み取ろうと手に取れば、そのタオルの質の良さに一瞬伸ばした手を引っ込めてしまった

が、何とかもう一度落とすことはないようにすることができ、改めて刺繍を解読する

刺繍は『osmn』と縫い込まれていた。これだけでは誰のものか分からない。おー、えす、えむ、えぬ。このイニシャルで構成されていた人を知っているような気がするが思い出せない

？「あ！それ俺のめう〜」

誰のだろうかと頭を抱えていれば、前から声がかけられる。パッとタオルからその声の主に視線を移せばそこにいたのは美青年だった

ぱっと見では女性だと思われても可笑しくない風貌、アシンメトリーのブラウンの髪に、本当ならその細められた目の中には深緑の森のような色をした瞳がある筈だ

攻略対象の一人、オスマンさん。二枚舌とも言われるほど、彼の話術はとんでもなく長けている。彼と口論をすれば一瞬のうちに負けが確定してしまうようなものだ

普段はおっとりとした雰囲気で、細められた目と語尾である『めう』の力もあってか女の人に間違えられることが多い。そこら辺の女性よりは女性らしい

、、これだけ見れば、だが

ゲームをしていた俺は、勿論彼のことも攻略済み。だからこそ、彼だけは攻略したくなかったと言えるのだろう

初めは良かった。仲良くなればお茶会に参加できるし、あのルックスであの口調だから主人公と並んでも絵になるのだ

見ていて眼福だったと言うべきか。そんな印象、好感度ゲージがいっぱいになってから覆されてしまった

オ「拾ってくれたん？嬉しいめう！探してたんよ」

コ「これ、貴方のだったんですね。見つかって良かったです」

そっとタオルを畳んでから両手で手渡し、それではと踵を返そうとすると、彼に右腕を掴まれた。そのままくるりと彼の方に身体を向けられ、軸になった左足がズキンと痛んだ

痛んだ、、？怪我でもしていただろうか

いや、それよりも。目の前で俺のことをじっと見つめてくる彼をどうにかしなくてはならない。彼は俺の瞳を覗き込んでから「へぇ、、？」と声を出して腕を離してくれた

オ「ごめんなぁ、ちょっと気になっただけめう！あ、そうや。ちょっと時間ある？」

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