【d,!】自分が愛されるなんて思わないやん？【k,n主人公】

エーミール編３ ページ23

コネシマ視点

エ「、、勘が鋭い方ですね。ええ、その茶葉はあの有名な支店によって作られたものではありません。それでも、普通の令嬢達ならば何も思わずに飲み干してしまうでしょう」

彼は頬に手を当てて、そうため息をつく。まるで紅茶の何たるかを知らない人がいて悲しいという表情、でもその裏は

エ「貴方は、本当に素晴らしい。だからこそ」

心配になってしまう

コ「、、ぇ？」

母親のような優しさを含む視線が、俺のことを捕らえて離してくれない。白銀の色にじわりと馴染んでいく紅茶の桃色がやけに鮮明に脳内にこびりついた

彼の手が俺の頬をゆっくりと撫でる。何度も何度も、慈しむように大事に触れられて気恥ずかしいが、どこか嬉しさもあって

エ「貴方は優しい。聡明であり、無垢でもある貴方はきっと、これから先の出来事に心を塞ぎ込んでしまうかもしれません」

何を言っているのか、理解できない。これから先に、何が起こるというのか。俺が心を塞ぎ込むという仮定を、何故今日出会ったばかりの彼ができるのかもわからない

コ「あの、、エーミール、さん？」

エ「だから、そんな貴方にどうか。祝福がありますように」

額をすっと撫でられて、彼の華奢な手が俺の視界を覆い尽くした。光も色も閉ざされたその場所では、動くこともままならない

エ「ねぇ、コネシマさん」

私、いや。私たち、仲良くなれますね

そんな淡い、甘い彼の声が遠ざかっていく。くすくすと上品な笑い声が一瞬だけ耳元に滑り込んできたものの、その正体を確認すらできず、俺は意識を手放した


エ「、、ふぅ、。やはり、慣れないことはしないほうがいいですね」

？「なんや、エミさんからそんな言葉が出てくるなんてな」

エ「私にだって、良心はあるんですから。彼のような生粋の"戦争屋"と同じに思わないで頂けませんか？」

知らない。俺が意識を落とした後で誰かがこっそりと扉を開けて忍び込み、俺のことを見ていたという事実は

？「にしても、可愛ええな、こいつ」

エ「はぁ、、まぁ、綺麗な顔立ちをされていますね。ぱっと見ただけでは男性かどうかの区別も付きにくい方だと聞いていましたが、これほどとは」

？「じゃあ、エミさんのお眼鏡には敵ったんやな？」

エ「、、ええ」

そう返事をして、また穏やかに笑うエーミールの瞳には、ほのかな桃色が宿っていた

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