君に言いたいことがある_izw ページ15
(izw side)
君に言いたいことがある。
「なんっで!私が悪いことになるわけ!?」
伊「まあ、確かに相手の方が悪いかもね」
彼女のいつもの愚痴を軽く流す。彼女の手にあるグラスはもう空だった。相当ストレスが溜まってるのか、今日はいつもよりペースが早くお酒を飲み干している。そのせいでいつもよりも赤くなった顔やぼうっとした瞳はこちらの心を揺さぶるものがある。
「だよね!?あ、すいません。おかわりください!」
自分ではその自覚がないのかさらにお酒を頼もうとする彼女を窘める。
ばーか、とひと睨みされたが酔いの回った瞳を向けられたようなものだ。絶対に俺以外にはやらないでくれと言ってやりたい。
「っていうか、伊沢はどうなの?その、QuizKnock?」
伊「まあ概ね順調だよ」
彼女とQuizKnockの話をするのは珍しい。彼女に話を聞かれることがないのに加え、以前QuizKnockに誘ったときに
「あんまり興味無いんだよね、そういうの」
と言われたことがあり、俺自身も話題に出すことは少なかった。
QuizKnockに興味持ったの?俺と一緒に働いてみる?
なんて言葉がでかかった。しかし、彼女の返事の曖昧さがそう出ないことを表していて、都合のいい解釈だったと言葉を飲み込んだ。
伊「そろそろ酔い覚めた?帰ろっか」
「まだ、もうちょっと」
伊「だーめ。今日ペース早すぎたから終わり」
その後もくずり続ける彼女を無視して会計をする。このまま一緒にいれば今度は本当に言葉が溢れ出てしまいそうだ。足早に店を後にした。
冬の冷たい風が隙間を通り抜けていく。後ろについてきた彼女はどこか遠くを見ているようだった。その視線を自分に向けて欲しい。
「伊沢」
伊「ん?」
「私さ、好きな人いるんだよね」
ひゅう、と喉が鳴った。こんな時に表情が変わらないところが自分の長所であり短所なところだと自覚している。
伊「へぇ、初耳」
「その、クリスマスまでに!絶対告白してみせるってここで宣言する。だから、応援して欲しい、です」
今までに見たことの無い表情だった。それはきっと、俺ではない誰かに向けられたものだ。
ここで俺が君を好きだと言ったらその表情はどう変わるのだろうか。
伊「…頑張れ」
「うん、ありがとう!頑張ります!」
そう言っていつも通りの笑顔に戻った。俺が好きなその顔も今は歪んで見えてしまう。
君に言いたいことがある。
まだ、言えないことが、ある。
───────
もう少々お付き合いを!
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ゆーな(プロフ) - かなとさん» 確認ミスでした。ご指摘ありがとうございます! (2019年10月9日 7時) (レス) id: 32accdebbf (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年10月9日 6時) (レス) id: 2c9a625555 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ x他1人 | 作成日時:2019年10月9日 6時