【桂小太郎】家族兼幼馴染み

お墓 ページ42

*


道場破りは毎日来た後、遂には銀時に勝利した。その頃には、もう小太郎も晋助も松下村塾の一員のようなものだった。


晋助と銀時の争い事は絶えないが、中々楽しい毎日。そして、松下村塾外で次に見かけた小太郎は、お墓の前だった。


『あれ、小太郎だ』


散歩をしていたら、お墓の前で手を合わす小太郎を見つけてしまった。今は声掛けない方が良いかも。と立ち去ろうとした瞬間、小太郎が先に声をかけてきた。


「A。こっちに来てはくれないか。」


小太郎に言われた通り、私はお墓の前まで来た、
難しい漢字は読めないが、お墓には桂と書かれていた。これは、小太郎の家族のお墓？


「おばば。紹介しよう。この子はAといって、優しくて俺の大切な友達だ。」


小太郎はお墓に向かってそう言った。いきなり優しい、友達と言われ、思わずドキッとしてしまう。友達。なんだか新鮮な響きに聞こえる。


「A。少し話をしたい。」


『うん。良いよ。』


私が返事をすると、小太郎はポツリポツリと話し出した。小太郎が天涯孤独だってこと。学校には特待生で入ったってこと。途中で私なんかが聞いていいのか悩むぐらい、色んなことを話してくれた。


『そうなんだ。......私も親がいなくて、家族も誰一人いないの。そして松陽先生に拾われたんだよ。』


小太郎があまりにも色んなことを話すので、私も思わず言ってしまった。流石に、どうしていないかまでは言えなかったが。でも母と父は優しい人だった。


生き残った村の人は、みんな私に言った。私は化け物だって。あの頃の記憶が鮮明に蘇ってくる。怖い。守るために戦っていたのに、いつの間にか化け物だって。私には、守れない。


思い出しているうちに、だんだん頭が真っ白になってきた。

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