【桂小太郎】家族兼幼馴染み

路地 ページ25

*


万事屋という名の嵐が去った後、りんご飴だとかかき氷だとか屋台に寄り道しながら小太郎と歩いていた。


『は、花火大会？ もあるんだっけ』


「あ、あぁ。もうすぐ始まるらしい。」


......相変わらず微妙な空間だ。何でなんだろう。いつもならこんな感じじゃないのに、と思わず考え込んでしまう。考え込んでいるとパシッと小太郎に手首を掴まれた。すると小太郎は走り出した。


『え、小太郎......？ どうしたの！？』


やっと止まったかと思いきや、そこは路地だった。何でこんな所に......。と聞こうとすると、いきなり体がふわっと包まれた。え、いや待て待て待ていや待て。いや、小太郎に抱きしめられてるの！？


『小太郎！？ ん！？ え！？』


「すまないA。幕府の犬どもが居たものでな。しばらくこうやって誤魔化すしかないだろう。」


いやいや、しばらく抱きしめられてろってこと！？ 私の心臓はバクバクしている。もうすぐ口から心臓が出てきてそうなぐらいに。そんな気持ちとは裏腹に私はこう言った。


『し、晋助も来るとか言ってたから、幕府側も警戒してるのかも。』


「なるほどな。高杉が変な事を起こさなければいいが。」


......何かいい匂いする。落ち着く匂い。小太郎の匂い。この路地だけ、まるで時が止まったようだった。

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