78 そばにいて欲しい ページ43
.
韓国から来た3人は魔法のように一瞬で次の日には荷物共々綺麗さっぱり消えてしまった。
順位が繰り上がりになったので、代わりに佐藤くんと宮島くんが来た。
母性大爆発組だな〜なんてぼんやり考える私。
_____ ぼくのだいすきな兄弟たちを、よろしくお願いします、のプレゼントです。
_____ …だから、みんなのこと、お願いします。
お願いされてもどうしようもないですやん…と頭を悩ませながら廊下の角を曲がった瞬間、見えたのは一人うずくまった練習生。
明々後日のファイナルに向けて練習生たちはダンスルームで練習をしている、はず。
突然のことに一歩下がって目を凝らすと、練習着の後ろに書かれた「豆原一成」の文字。
…こ、これはマメハライッセイクンダァ！！
どうするのA？声かける？…えっちょっと待って豆原くん泣いてない？どうしようどうしたんだろう声かけたら迷惑かな！？？
私がぐるぐると迷っている間に、豆原くんは気配を察知して、ぱっと顔を上げた。アッやっぱり泣いてる。
『ご、ごめんすぐいなくなるから大丈夫誰にも言わな…、』
豆原「…ここにっ、ここにいてください」
慌ててこの場から立ち去ろうとした私を引き止めるように振り絞った声を出した豆原くん。
ぽろぽろと涙を流しながら、迷子になってしまった小さい子供のような、捨てられた子犬のような、そんな顔で見上げてきた。
私は謎の罪悪感から、とりあえず体育座りをしてうずくまる豆原くんの隣に静かに腰を下ろす。
豆原「ごめんなさい、引き止めて…」
『あっいや、私は別に…大丈夫ッス…』
豆原「こんな情けない姿見せたくなかったんすけど、今はそばにいて欲しいです」
豆原くんは腕に顔を埋めてぼそぼそと小声で声を出した。そして腕には涙の跡もしっかりと残っていて。
そのとき改めてこの子まだ17歳なんだなあって、実感したというか。
豆原「…もう、どうしたらいいのかわからなくて」
『…うん』
豆原「……僕も辞退したいなんて思い始めて。最低ですよね」
_____ …だから、みんなのこと、お願いします。
全然泣き止む気配のない豆原くんを横目に、頭の中の陽気なお兄さんが騒ぎ始めた。
はあ、とひとつため息をついて、下を向いている豆原くんの両頬をバチンと勢いよく挟んだ。…この世で一番肌スベスベじゃん。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「JO1」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マァ(プロフ) - 久しぶりに読んでも楽しいし泣けました。 (2023年2月24日 11時) (
レス) @page50 id: 72e8f2e0cc (このIDを非表示/違反報告)
雪りんご(プロフ) - こんにちはりんごじゃむさん！日プの新作とか出すつもりあるでしょうか？？すごくみたいです！！ (2020年8月13日 4時) (レス) id: d343e70c28 (このIDを非表示/違反報告)
りんごじゃむ(プロフ) - go to the topさん» こんにちは、返信が遅くなってしまい申し訳ありません！転載のお話ですがもちろん可能ですよ！！私の作品が多くの中国JAMの方に読んでもらえることを心から願っています！その際はぜひ名前の記入をお願い致します！ (2020年8月9日 19時) (レス) id: 009a13994c (このIDを非表示/違反報告)
go to the top - こんにちは、りんごじゃむ先生！翻訳してからLOFTERに転載してもいいですか。中国にもJAMがたくさんので、原作者を明記するのを忘れられない。 (2020年7月10日 16時) (レス) id: d57e1e7b99 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました！他の作品も楽しみにしています！ (2020年6月28日 4時) (レス) id: 5f1fa35d0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りんごじゃむ
| 作成日時：2020年3月30日 18時
