70 多分相性が悪い ページ35
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「こんにちは、お疲れ様です」
『…？こ、こんにちは』
TV局の見学中。
そろそろ仕事も慣れてきた頃、撮影の隅っこでひたすら小道具準備の手伝いをしていたら知らない女性に突然声をかけられた。
腕にSTAFFと書かれた腕章をつけていたのでおそらくここのスタッフさん。多分。
きゅるんと効果音がつきそうなほど目が大きくて、綺麗な髪の毛がさらさらと動く。
なんだこの美少女…
ぼんやりと見たことのあるシルエットに、私は思わず目を細めた。
「覚えてないわよね、ごめんなさい！」
『えっと…どこかでお会いしましたっけ』
と、自分で言ったところで初日の面接を思い出す。
_____この子、死んだ魚の目してない？
なんか見覚えがあると思ったら、私が菅井先生に採用された日にこの台詞を言い放った女の子だ。ひえーこんな偶然ってあるんですね。
すると彼女は、ハッと思い出した私をちらりと見て「あの面接以来、久しぶりですね」と綺麗な笑顔で微笑んだ。
「せっかく受かったのに、もうあっちで働くの辞めちゃうんですね」
『え？まあ、そっ…そう、っすね』
私はこの空気感が気まずくて、ぎこちなくへらりと笑う。
あっち、というのは多分PRODUCE101JAPANの番組スタッフのこと。動機は違えどこの人も働きたくて面接を受けたんだろうし…
するとスタッフさんは私のことをチラリと見るなり「練習生たちどうですか？」といきなり話を持ちかけてきた。
『どう…？』
「なんか正直、レベル低いですよねえ」
『…え？』
「画面越しでずっと見てましたけど、ちょっとビックリしちゃいました」
『…』
「私じゃあんな近くで見てられないです」
そう言ってにこりと冷ややかに笑った彼女を前に、川尻くんが「レベルが低いって言われてるらしいんだ」と夜中にFクラスまでダンスを教えに周っていたことを思い出してムカムカと胃もたれのような苛立ちが駆け巡る。
すると彼女は私にしか聞こえないような声量で「実は…」と小さく呟いた。
「私の父がここのTV局の社長なんですけど、票の操作とかできるらしいですよ」
『……は？』
「日本でもやっぱりそういうのってあるんですね〜」
……社長令嬢ってこの子のことか。
飲み会で違和感を感じた自分の直感も捨てたもんじゃないな、なんてそんな呑気なことを頭の片隅で思った。
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マァ(プロフ) - 久しぶりに読んでも楽しいし泣けました。 (2023年2月24日 11時) (
レス) @page50 id: 72e8f2e0cc (このIDを非表示/違反報告)
雪りんご(プロフ) - こんにちはりんごじゃむさん！日プの新作とか出すつもりあるでしょうか？？すごくみたいです！！ (2020年8月13日 4時) (レス) id: d343e70c28 (このIDを非表示/違反報告)
りんごじゃむ(プロフ) - go to the topさん» こんにちは、返信が遅くなってしまい申し訳ありません！転載のお話ですがもちろん可能ですよ！！私の作品が多くの中国JAMの方に読んでもらえることを心から願っています！その際はぜひ名前の記入をお願い致します！ (2020年8月9日 19時) (レス) id: 009a13994c (このIDを非表示/違反報告)
go to the top - こんにちは、りんごじゃむ先生！翻訳してからLOFTERに転載してもいいですか。中国にもJAMがたくさんので、原作者を明記するのを忘れられない。 (2020年7月10日 16時) (レス) id: d57e1e7b99 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました！他の作品も楽しみにしています！ (2020年6月28日 4時) (レス) id: 5f1fa35d0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんごじゃむ
| 作成日時：2020年3月30日 18時
