49 当たって砕けろ ページ14
.
手に違和感を覚えてゆっくりと目を開けると、見知らぬベッドの上で目を覚ました。
訳もわからず周りを見渡すと、私の右手を瑠姫くんがガッチリと握ってそのまま眠っていた。
…ん？どういう状況？しかもなんで夜？？
もぞもぞとベッドの中でなまった体を動かして、必死にこの状況に至るまでを思い出す。
医務室の先生は不在らしく部屋の中はしんと静まり返っていた。
…安藤くんがカッコよかった所までは覚えてるんだよな。
うーんと唸っていると、瑠姫くんがぱちりと目を覚ました。寝起きまで顔面プリンス。
『あ、おはよ…っ！？』
白岩「ばか、何してんの」
そして突然瑠姫くんが凄まじい勢いで抱きついてきた。なんで？
状況がよくわからないけどいきなり涙声で抱きついたまま全然離れてくれない。
『あ、え？どした？』
白岩「急に誠明くんの前で倒れたんだよ」
『………まじで』
白岩「ただの寝不足らしいけど」
どうしよう安藤くんに多大なるご迷惑をおかけしたかもしれない。
今すぐ謝りに行こうとする私を必死に止める瑠姫くん。私安藤くんに絶交されたら生きていけない！！！
しかし唐突に鶴房と木全に告白されて寝不足になったことを思い出して、つい言葉に詰まった。
急に黙り込んだ私から離れて探るような視線を向けられる。
白岩「なんかあったのか、ってみんな心配してた」
『ウワー申し訳ないことしちゃったなあ…ただの寝不足っす…』
白岩「なわけないじゃん」
『さっきと言ってること違うけど！？』
白岩「寝不足の理由俺？だったらホントにごめん」
『いや普通に、最近考え事してたら眠れなくて』
決まり悪そうにそう言うと、パチンとデコピンされて瑠姫くんの大きな目に睨まれた。
普段寝不足にさせてる自覚はあるんだこの人。
白岩「何があったのか知らないけど、考え込んでぶっ倒れるとかAらしくないよ」
『何も言えんす』
白岩「壁があるなら当たって砕けろ！」
『瑠姫くんキャラブレ！』
瑠姫くんは出会ったばかりのあの頃のように、幼い少年のような笑顔を私に向けた。
そして、「Aがどんな道を選択しても俺は味方でいてやるから」と何故だか少しだけ寂しさを含んだ声でそう呟いた。
そうだ、私にはやるべき事が残っているんだ。
白岩「そろそろ行くね、今日は疲れが取れるまでゆっくり寝なよ」
『最後だけ王子風味残すんだ』
白岩「黙って寝ろ」
『ハイ』
.
50 宇宙人は恋をしている→←48 あまりにも大切な人なんだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マァ(プロフ) - 久しぶりに読んでも楽しいし泣けました。 (2023年2月24日 11時) (
レス) @page50 id: 72e8f2e0cc (このIDを非表示/違反報告)
雪りんご(プロフ) - こんにちはりんごじゃむさん！日プの新作とか出すつもりあるでしょうか？？すごくみたいです！！ (2020年8月13日 4時) (レス) id: d343e70c28 (このIDを非表示/違反報告)
りんごじゃむ(プロフ) - go to the topさん» こんにちは、返信が遅くなってしまい申し訳ありません！転載のお話ですがもちろん可能ですよ！！私の作品が多くの中国JAMの方に読んでもらえることを心から願っています！その際はぜひ名前の記入をお願い致します！ (2020年8月9日 19時) (レス) id: 009a13994c (このIDを非表示/違反報告)
go to the top - こんにちは、りんごじゃむ先生！翻訳してからLOFTERに転載してもいいですか。中国にもJAMがたくさんので、原作者を明記するのを忘れられない。 (2020年7月10日 16時) (レス) id: d57e1e7b99 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました！他の作品も楽しみにしています！ (2020年6月28日 4時) (レス) id: 5f1fa35d0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りんごじゃむ
| 作成日時：2020年3月30日 18時
