83 つまり ページ48
.
『…え？なんで？』
鶴房「おじさん、悪いけどこいつの内定先は決まってるんで、サヨナラ」
そう言って私のスマホの赤い終話ボタンを勢いよく押した鶴房に目を丸くする。
鶴房の後ろには、さっきまでインタビューの受け答えをしていたメンバーたちが息を切らしながら立っている。エッ、今生放送…終わって来たパターン？
與那城さんや河野くんが必死に涙を拭いているのを見て、私はまた涙が出そうになりながら鶴房の足を踏んだ。
鶴房「っ、痛ッッ！？なんで！？」
『なんではこっちのセリフなんだけどバカなの！？なんで電話切ったし！？この人偉い人だから！？』
鶴房「…！？俺終わったやん！！」
そう言って思いっきり笑う鶴房の横から、ひょこっと顔を覗かせた豆原くん。あ、泣いてる。
豆原「Aざん"、おれっ、俺…っ、デビュー、しました…」
『豆原くん頑張ったね見てたよ！！』
豆原「Aさん…っ」
豆原くんは私の元に近寄ってぎゅうっと抱きしめて来た。控えめな豆原くんの初スキンシップに、心臓が壊れそうなくらいうるさい。やだ恋しちゃう！
しかしすぐに、河野くんにベリっと剥がされて「Aちゃん、もしかしてヒチョンさんから聞いてないの？」と川尻くんが首を傾げた。
『…え、ヒチョンさん？』
川西「この様子だと聞いてないみたいやな」
白岩「韓国組の3人が、JO1の専属スタッフにAを推薦してくれたんだよ」
『……は！？』
木全「しかもそれが超アッサリ通ったらしい！！」
専属スタッフ。ちょっと待って何それ。
唖然とする私の背中をバシバシと叩いて「まあ、つまり内定先ってそういうこと」と笑う鶴房。
ヒチョンさんから貰ったライトグリーンの腕時計が、導かれるようにカチリと音を立てて動き出した。
與那城「…A」
『フォァッ！？よよ、與那城さん、よよよ呼び捨て…』
與那城「まだ未熟な俺たちだけど、みんなで話し合ってやっぱり側にいて欲しいって思ったんだ」
目の縁に泣いた跡が残っている與那城さんにそう言われて周りを見渡すと、「何間抜けな顔してんの」とサケイに言われて笑いが起こる。
JO1「これからも応援、よろしくお願いします！！」
11人の個性豊かなアイドルに囲まれて、私も不思議と笑いが込み上げてきた。
…まずは挨拶を揃える所から始めよう。
佐藤Aは転職できないらしい。
END.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マァ(プロフ) - 久しぶりに読んでも楽しいし泣けました。 (2023年2月24日 11時) (
レス) @page50 id: 72e8f2e0cc (このIDを非表示/違反報告)
雪りんご(プロフ) - こんにちはりんごじゃむさん！日プの新作とか出すつもりあるでしょうか？？すごくみたいです！！ (2020年8月13日 4時) (レス) id: d343e70c28 (このIDを非表示/違反報告)
りんごじゃむ(プロフ) - go to the topさん» こんにちは、返信が遅くなってしまい申し訳ありません！転載のお話ですがもちろん可能ですよ！！私の作品が多くの中国JAMの方に読んでもらえることを心から願っています！その際はぜひ名前の記入をお願い致します！ (2020年8月9日 19時) (レス) id: 009a13994c (このIDを非表示/違反報告)
go to the top - こんにちは、りんごじゃむ先生！翻訳してからLOFTERに転載してもいいですか。中国にもJAMがたくさんので、原作者を明記するのを忘れられない。 (2020年7月10日 16時) (レス) id: d57e1e7b99 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました！他の作品も楽しみにしています！ (2020年6月28日 4時) (レス) id: 5f1fa35d0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りんごじゃむ
| 作成日時：2020年3月30日 18時
