8月下旬の昼下がり【ギター】＊ ページ10
『ギター！』
「おう、どうした？」
『暇なの、演奏聴かせて』
バンドメンバーの女性ボーカルのA、彼女はギターの音色が大好きだ。
今の様に時折こうして、ギターの演奏を聴きにやって来る。
今日は青空の下、暖かな甲板がステージだ。
「リクエストあるか？」
『…ゆったりしたのが良いかな。アップテンポなやつじゃなくて』
ギターの隣に座ったAが、少し間を空けてからそう言った。
珍しいリクエストに少し不思議に思いつつ、ギターは何も言わずに自身の楽器に手を添わせた。
ギターの指先が、柔らかな音を奏でる。
落ち着いた音色に耳を傾けながら、Aはぽつりと話し始めた。
『もうすぐ、出航なんだね』
「あぁ。今年もあっという間だったなー」
『…寂しい？』
「そりゃあ…寂しいな、すっごく」
『私も…、私だけ初めて来たのにさ、ここの人達は暖かく受け入れてくれて、こんなにも楽しいの初めてだったから』
「…うん」
『……出航…したくないなぁ…』
震えてて、今すぐにでも消えそうな声でAは言った。
演奏していたギターの手が止まる。
大空に浮かぶ雲が、目で見ても分かる程の速さで流れていく。
初めて過ごしたここでの約2ヶ月は、あまりにも濃い一時で、過ぎていく時間が早すぎた。
毎日はしゃいで宴をして、大好きな音楽と優しい人達に囲まれていた暖かな日々。
しかし、楽しい時間にも必ず終わりは来るもので。
顔を下げるAに見兼ねたギターはAの頭を撫でると、コツンと額と額を合わせた。
「暗くなる気持ちも分かるけどな、まだメソメソする時じゃねぇぞ。辛いのは皆一緒だ。
それに、お前もそんな顔じゃ、アイツらも暗くなっちまうだろ」
『…ギター』
「大丈夫、きっとまた戻ってくる」
海賊家業をしている以上、戻ってくる保証は出来ない。
それでも変な確信があるのは、何故だろう。
最後にAの頭をひと撫ですると、ギターは立ち上がった。
「演奏、途中だったな。歩きながらでも良いか？」
そろそろリーダーに呼ばれるだろうしな、と言うギター。
時間が迫ってる事に気付いたAは、自分の両頬を叩くと立ち上がってギターの後を追った。
先程の曲とは違って、いつもの明るい曲調の演奏が奏でられている。
ギターの音色と、昼下がりの爽やかな風が、2人の背中を押していた。
△▼△▼△▼△
自分の心を抉りながら書きました(血涙)
コーメさん、2回目のリクエストありがとうございました！
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うねゆ(プロフ) - みつはさん» そうなんですごめんなさい〜(>_<;)募集再開した時にまたコメくれると嬉しいです…！ (2018年9月4日 11時) (
レス) id: 2ba56a09e4 (このIDを非表示/違反報告)
みつは - ごめんなさい！リクストップでしたね^^; (2018年9月1日 0時) (レス) id: 7451b40fcd (このIDを非表示/違反報告)
みつは - トリックさんとの作品が読みたいです！ (2018年9月1日 0時) (レス) id: 7451b40fcd (このIDを非表示/違反報告)
うねゆ(プロフ) - コーメさん» こちらこそありがとうございました！リク受付再開した時にでもまたよろしくお願いします〜！ (2018年8月29日 19時) (レス) id: 2ba56a09e4 (このIDを非表示/違反報告)
コーメ(プロフ) - こんにちは！ありがとうございました！めっさ素敵です♪今度またリクエストさせていただきますね！ (2018年8月29日 18時) (レス) id: 08b329afd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うねゆ | 作成日時：2017年8月18日 22時
