【d!】仮初の言葉でも (ページ12)

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2幕2場ページ12

「ッ大丈夫か姫！」

「すごい声したけど───って、血？！」

「何があったんだよ！」

「一緒にいたのは───花宮さん……？」

あ、ダメなやつだ、これ

「────ハナさん、花宮さん、が、これぇ……」

姫宮は相変わらずの高い演技力で涙をうかべ震えながら

私を────そして、私の持つカッターを指さす

『っちが、これは姫宮が』

慌てて弁解しようとするも遅い

「……花宮さんがやったん？」

「ぅん、そうなのぉ……でっでもハナさんは悪くないの！きっと初めてのお芝居で飲まれちゃったとか嫉妬しちゃったとかそういうのだと思うしぃ、」

､､､この期に及んで姫宮はわたしを庇うふりをするのか

他のメンバーから向けられる冷たい視線

「､､､新人の花宮さんが姫に勝てるわけないやん」

「素直に助演やれや､､､演技力もないくせに何調子乗ってるん」

､､､確かに私は演技力がないけど

だからって嫉妬だけで人を傷つけたりしない

『､､､私はやってないんです』

そう言っても無駄だった

そりゃそうだよね

みんな大好き姫様が傷ついてて

しかも本人は私にやられたと言っているのだから

メンバーはほぼ全員が私を罵倒したり睨んだりしている

､､､けど鬱さんは……いや、それだけじゃない

私と初日に、オーディションの時に会った人達は私を睨んでいない

､､､なんでだ？

信じてくれているんだろうか

何人かのメンバーは

姫宮を連れて保健室に行くらしい

部屋に残ったのはコネシマさん、ロボロさん、トントンさん、そして鬱さん

私を睨んでいなかった人達

､､､信じていいのかな

私が悩んでいると鬱さんが口火を切った

「､､､あれ姫宮の嘘とちゃう？ハナちゃんやってへんやろ？」

！

やっぱり信じてくれていたのか

私はこくこくと何度も首を縦に振る

「やっぱそうやんなあ､､､」

『､､､どうしてそう思ったんですか？』

私が鬱さんにそう尋ねると答えたのはロボロさんだった

「花宮さん演技ほんまに上手いから姫如きに嫉妬する必要ないしな､､､そもそも感情の起伏薄いのに、イラついたってだけで人傷つけたりせんやろ？」

ロボロさんの言葉に他の3人も頷いている

鬱さんは「そういうことやねん」と微笑んで私に近づいてきた

「､､､しばらく周りのヤツらからの視線とかきついかもしれんけど、ここは実力主義や、完全に。やからハナちゃん、演技で信頼を勝ち取れ。ええな」

『────はい！』