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『キス……いいよ、別に。しても』
まぁ幼なじみにキスされたって何をドキドキすることもない。
わたしはそんな風に思っていた。
つまりは────ショッピという男を、舐めていた。
「……ふぅん?じゃあ頂きますね」
彼は挑発するかのようにそう呟くと、まずわたしの耳に口を寄せた。
わたしが戸惑っていると彼は面白がるようにふっと笑う。
……すると彼の吐息がわたしの耳にかかり、体がぴくんと跳ねる。
つまり、その……有り体にいえば、感じてしまっていて。
「……今体跳ねた。自覚あります?やらしー」
ッ、、この後に及んでいたずらっ子のように煽りを続けるしょーくんは本当にいじわるだ。
これ以上はダメ、そんな気持ちを込めて彼の胸元を手で押す。
……が、彼はびくともしなかった。
体格差や力の差をまたしても感じさせられる。
「あっれぇ、今ので抵抗したつもりっすか?w可愛いもんっすねぇ?」
……あぁもうこいつ本当にイラつく!
わたしが魔法使ったり獲物出したりしたらお前なんか1発なんだからな、と悪態をつきつつ今は逆らわずにいるのが得策か……と考える。
『も、バカ……ッ』
こいつ、先程からずっと耳元で喋るものだから、かなり辛い。
はよキスしろ……すぐ終わらせて離れて。
そんな願いを込めてわたしは目をつぶり、顎を上げた。
要するに────キス待ち顔。
ほら早くしてよしょーくん、あと何気に家族除いたらファーストキスだからな喜べ。
照れと焦りから変なことを考えつつそのまま数秒待った。
「……ふw…かわいー。」
ふとそんな声が吐息とともに耳元に吹き込まれた。
びくっと体が反応してしまう、そして次の瞬間────
軽いリップ音がして、“頬に”柔らかい感触がした。
「じゃ、俺任務あるんでここら辺で。……可愛かったっすよ」
────ほっぺたにキスを落とされた、そう気づくのに対して時間はかからなかった。
くっそぅあのバカ幼なじみ……!
恥を忍んでキス待ち顔までしてやったのによりによってほっぺたに……
彼からしたらわたしはさぞ馬鹿みたいに見えたことだろう。
もう本当に恥ずかしい。
『……ッもう、しょーくんのばかぁ……』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「……さすがにあんなんずるいわ、反則……」
自身の幹部室に向かいつつ思い出すは、Aの、瞳をきゅっとつぶり頬を染めた可愛らしい顔。
「……大好きやわ、ほんと」
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まこち(プロフ) - 初コメ失礼します、続編!!楽しみにしてます!!!! (2022年1月17日 17時) (レス) @page50 id: 2e33e63444 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ(プロフ) - シュネーさん» ひえぇありがとうございます……!!!頑張ります…( ´ω` )/ (2021年9月29日 23時) (レス) id: 822e5c31a6 (このIDを非表示/違反報告)
シュネー(プロフ) - ユノさんおめでとうございます!(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑がんばれー (2021年9月29日 22時) (レス) @page35 id: ee9d47dabc (このIDを非表示/違反報告)
シュネー(プロフ) - 面白かったです!ありがとうございます!(?)ゆっくりでもいいので、楽しみに待ってます! (2021年9月28日 23時) (レス) @page27 id: ee9d47dabc (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 好き……え、設定も文才も言葉選びも何もかもが好き…頑張ってください、応援してます…… (2021年9月28日 7時) (レス) id: 3705531e30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユノ | 作成日時:2021年9月24日 0時