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"月永先輩、お客さまです"
レッスン室の扉から顔を覗かせた｢プロデューサー｣は、ちょいちょいとおれを手招きした。
誰が助手席に座るのか討論を繰り広げるメンバーを他所に、おれは｢プロデューサー｣の元へ小走りに近寄る。
すると、｢プロデューサー｣はニヤッとした笑みを浮かべてから、サッと身体をずらして
そしたらさ、目の前から影が飛んできて、重みを感じてふらつく。
『サプラーイズ♪うっちゅ〜、レオくん！会いに来たよっ！』
｢え、は！？｣
おれの名前を呼ぶその声は、ずっと近くで聴きたかった声で。
目の前で揺れる髪は勿論見覚えがあって、それは何度も見つめ続けた、おれの大好きな人の…
｢A…！｣
『うぐっ、くるし…』
ぶわわ！っと湧き上がる
中々に苦しそうな声を出したもんだから、やべって腕を少し緩くしたんだけど、どうやら遅かったらしい。
｢れおくん、あんたねぇ。女の子には手加減くらいしてあげなよねぇ？｣
｢わぁ〜、久しぶりだねぇ、A。またピアノ弾いてよ〜｣
Aからおれを引き剥がすセナと、すかさずAに抱きつくリッツ。
おまえらはおれ達の仲を引き裂く何かなのか！？と唸れば、呆れ顔のセナはおれを床に投げ捨てる。
ついでに、リッツの事も引き剥がして、おれの上に投げ捨ててきた。
｢うっっぐ…やばい、無理無理、おれ出ちゃう｣
｢いたた…ちょっとセッちゃんのせいで俺も月ぴ〜も被害甚大なんだけど〜…って月ぴ〜ここで出さないでよね…!?｣
茶番の様な様に、チラリと盗み見たAの顔は、軽くひきつっていた。
お久しぶりの感動の再会が、こんな形で邪魔されるなんて。
それでもこの状況にまた新たな
上に横たわったリッツを机代わりに、ナルに手渡してもらった紙にペンを走らせる。
なにやらくすぐったいと身じろぐリッツだけど、避ける気がないなら大人しくしろ！と喝を入れれば、グダっと一気に体重を掛けてきて正直重い！
けどこれもいい刺激だな！なんて。
｢できた！！A、早速弾いてくれ！感動の再会の歌！｣
『はいはい、任せて？』
1枚に収めた音符たちを、Aに手渡せば、心底嬉しそうな顔をしてくれて、おれの顔に熱が溜まってくのが一瞬でわかった。
あぁ、我ながら単純だ。
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作者名：なこ | 作成日時：2023年1月29日 20時
