おれ、振られました【月永レオ】 (ページ13)

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下駄箱で偶然一緒になったセナが、珍しくおれを案内してくれた先は普通科校舎。

昨日Aの家に行ったついでになんか面白そうと思って手に取った英和辞典を借りパクしちゃったのが事の発端だった。

ちなみに全然面白くなかった。普通に頭痛くなった。

「こっから先が普通科校舎だけど。あんた流石に彼女のクラス知ってるよねえ？」

「んーっと…知らない！」

そういえば、あいつのクラスをおれは知らない。

だって教室まで迎えに行ったことないし、帰りはいつも外で集合だったし。

「あんたねぇ。なんで英和が必要なのは知っててクラスは知らないわけえ？チョ
うざぁい…。」

「大丈夫だ！なんとかなる！」

そう言って、わはっ☆と笑って見せればなんか知らないけどセナに頭チョップされた。
痛いじゃん。

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そこら辺の誰かに聞けば何とかなる。そう思うことは同じだったみたいで、セナが周りにキャーキャー言われながらAのクラスはどこなのか聞いてくれた。めちゃくちゃアイドルスマイルで。

そうして何とか辿り着いた教室の前ではさらに人だかりができちゃって、仕方ないから同じクラスのそれっぽいやつにAを呼び出してもらうことにした。

『れ、レオくん？！何しに来たの？！』

「え。」

人ごみをかき分けおれを見つけてくれたAは何だかいつもと違っていた。

普段女の子らしくないとかそーゆーんじゃなくて。

いつもは下ろしてる髪はかわいいくらいのハーフアップにされて、ご丁寧に巻かれている。
あとちょっと、いい匂いがするんだ。

『レオくん？』

「あんたが王様の幼馴染？王様が英和辞典、借りパクしたって騒がしいから届けに来たんだよねぇ。」

『あ、ありがとうございました。助かります！』

「ッ…。どういたしまして。」

おれの代わりに説明して、ついでに英和辞典まで手渡したセナにAはふわっと微笑む。

おいちょっとそこ。
おれが動揺して何も言えなかったからってセナまでAに動揺するな。

「…行こうセナ。」

「そうだねえ。やる事やったし、流石に長居するわけにはいかないし？」

「だけど、あんたはいいの？」と気を遣うセナにおれは大丈夫と返して、取り囲むやつらに通してと言いながら来た道を帰る。

後ろから『レオくんもわざわざありがとう！』と少し大きめの声を出すA。

「またな、A！その髪型もかわいいぞっ！」

普通の振りをしていつも通りに笑って返すので精一杯なくらいにな。