十四話 ページ15
藤堂と手合わせした。
あと少しの所で負けた。
前よりずっと、速度が上がっていた
不思議と苛つきが出てこない。
何か頭がふわふわしてらァ
ンで、師範がご馳走だと言うので、家に入った。
中々豪華な夕飯だった。
藤堂の奴、ずーーっと「梨!!!!」って騒いでた。
どんだけ梨好きなんだよ
しばらく食べていると、師範がある物を持ってきた
お萩だった。
急に昔の事を思い出してきた。
誕生日、姉弟やお袋がお萩を作ってくれた事
お袋が鬼になった事
他の姉弟を守れなかった事
唯一生き残った弟に
人殺しと罵られたこと。
…守れなかった。守りたかった。
まだ一緒に居たかった。
あァ、こんな事。
とっくの昔に忘れたはずだった。
ムリだな
大好きな家族だから。
そう思うと
目の奥が熱を帯びてきた。
……ッ泣くんじゃねェ
テメェは漢だろうが
人がいる。
藤堂がいる。
師範がいる。
情けねェ所見せんじゃねェ
それでも、涙は俺の眼から溢れた。
二人は気づいていない。
まだ話している。
不意に、藤堂が「そうだ!」
と、叫んだ
「実弥!!良い景色が見れる所があるんだ!!行こうぜ!!」
「はァ?」
いや、嘘だろォ?
俺今眼真っ赤どころじゃねェ
現在進行形で泣いてるンだわ
そんな事を考えている間に、藤堂は俺の手を引き、
俺を外に連れ出した
師範は何も言わずにただニコニコしていた
まさか
気づいてンのか?
しばらく走り、青い花と緑の花が咲いている崖のような所に来た
綺麗だなァ
つか、多分コイツ俺に足の速さ合わせたな…
「どうだぁ〜〜〜〜???綺麗だろう?俺のお気に入りの休憩場所だ」
「……ン」
上手く喋れねェ
「なあ、
悲しいか?」
「!!!…別に」
やっぱこいつ気づいてやがる
ここで素直に「はいそうです」って折れる訳にはいかねェ
「…なら、何故実弥から嘘と哀しみの匂いがするんだぁ?ン〜〜??」
ハッ!!そうだこいつ嗅覚異常な程発達してるんだった…
ならどんなに嘘ついても無駄か…
「チッ…昔の事思い出してたンだよ」
「………何か嫌な事思い出しちゃったのか?」
「ンな事…」
…驚いた。藤堂がめちゃくちゃ真剣な顔してこっちを見ていた
「実弥、おいで」ポンポン
藤堂はそう言って自分の隣を叩いていた。
…座れと?
「…」ザッ
気づいたら足が動いていた
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実弥Love - ドハマリしました!実弥推しなので嬉しいです。更新楽しみです。 (2021年2月28日 13時) (レス) id: ac6a18bc22 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 単刀直入に言います。ハマりました!!とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2021年2月13日 22時) (レス) id: 9887203006 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水瓶 | 作成日時:2021年1月2日 10時