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22.キライリバーシブルヘイト utsha【1】 ページ14

自傷表現、軽い流血表現があるので、
苦手な方はご自衛くださいませ。

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utside

夕暮れの暗い部屋。
机の上にぱたぱた…と雫が零れた。
夕日で赤く染まった仄暗い部屋では、この濃紅の雫だってインクか何かにしか見えない。
手首についた細い傷からは、次から次へと新しい雫が溢れている。
別に痛くもなんともない。
最初の方は痛かったような気もするけど、今はもう慣れた。
ただじんわりと痺れるような熱さがあるだけだ。
ぽたぽたと机に染みを作り続ける血は、止まることを知らないように溢れ出してくる。
このまま止まらなかったとしても別にいい。
痛いのだとしても別にいい。
このまま死んでしまったとしても別にいい。
ざまあみろ、と思うだけだ。
ただただ、手首を這う血を見つめる。
こうしていると、心が満たされるような気がするから。
すると、ふいに後ろでバンッ!!という音がした。

「大先生!!!」

その声に振り返ると、恋人のシャオロンがいた。
息を切らして、何か急ぎの用だろうか。

「あぁ、シャオちゃん。どうしたん?」

にこ、と微笑んでそう言うと、シャオロンはつかつかとこちらに歩み寄ってきた。
その歩調は、何か、怒っているような荒いもので。

「どうしたん、じゃないやろ!!何してたん、これ……!」

そう言ってシャオロンは机の上に出来た水溜まりを指さした。

「何だ、そんなこと。別に何ってこと無いよ。」

するとシャオロンは目を大きく見開いて、その後僕の胸ぐらを掴んだ。
からん、と右手に持っていた小さなナイフが床に落ちて乾いた音を立てる。

「そんなこと……!?お前、ようそんな風に言えたな……!!」

未だかつて無いくらいに怒った様子のシャオロン。
でも、どこか悲しそうな顔をしている。
…あぁ、こんな時でも、彼は僕と違って綺麗だな。
なんて妙に冷めた考えだけが頭の中を過ぎ去った。

「そんなこと、やろ。この程度じゃ残念だけど痛くもないし、死んだりもしない。」

彼の目を見てはっきりと言い放つと、彼は僕の胸ぐらを掴んでいた手を緩め、呆然とした表情をした。

「残念って……大先生、死にたいん……?」

ぽつり、と零すように小さく彼は呟く。
何をそんなに驚く必要があるんだろう。

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作品ジャンル:恋愛
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るある。 - ラッピングしてお返しするところ、、、尊い‼️ (5月12日 1時) (レス) @page37 id: daaa2cbdca (このIDを非表示/違反報告)
るある。 - 最高です(・・)マガオ (5月12日 1時) (レス) @page33 id: daaa2cbdca (このIDを非表示/違反報告)
レマ - ありがとうございます 尊いです (2023年4月16日 16時) (レス) @page34 id: a92f5b28bf (このIDを非表示/違反報告)
Labo(プロフ) - 電球ソーダさん» 返信、遅れてしまってすみません!尊いは最大の褒め言葉です…!ありがとうございます…!! (2022年5月24日 5時) (レス) id: 34b51c2cbe (このIDを非表示/違反報告)
電球ソーダ - 尊い (2021年7月3日 3時) (レス) id: 9b3bfa43e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Labo | 作成日時:2020年4月21日 10時

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