Call*13 ページ15
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｢れ､蓮くん｡付き合ってるんだし､今日からそう呼んでもいい？｣
村瀬さんの最寄りの駅で降りて､家まで歩く途中。
突然隣から名前を呼ぶ声が聞こえて思わず足を止めてしまった。
｢いい､よ｡｣
｢蓮くん､私のことも好きに呼んでいいからね｡｣
好きな人の好きな声で呼ばれる自分の名前。
多分､こんなにも自分の名前が愛おしく感じたのは初めてだと思う｡
もっと呼んでほしいって､そう思ってしまう｡
｢A…………さん｡｣
｢びっくりした､いきなり呼び捨てされるのかと思った｡でも“さん”は堅苦しくない？まだ距離を感じるよ｡｣
｢呼び捨てされたら嫌じゃない？｣
｢全然｡むしろ嬉しいよ｡｣
｢じゃあ…頑張ってAって呼ぼうかな｡｣
｢うん､ありがとう！私も早く蓮くんって呼ぶのに慣れなきゃね｡｣
・
・
・
｢送ってくれてありがとう｡｣
｢全然｡近所だし気にしないで｡｣
話しながら歩いているとあっという間に家に着いてしまった。
｢じゃあ…また月曜日にね､蓮くん｡｣
｢じゃあね｡｣
｢なんか…たった2日会えないだけなのに､寂しく感じちゃうね｡｣
｢それは俺も同じだよ｡｣
｢私､こんなに月曜日が待ち遠しく感じたの初めてかも｡｣
そう言って顔を俯かせる。
｢A､｣
でも名前を呼ぶと､すぐに俺の方を見てくれる。
少し顔が赤く見えるのは照れてるからなのか､それとも夕日に照らされているからなのか。
｢っな､何？｣
｢今日の夜､時間ある？｣
｢今日は…あると思う｡｣
｢電話してもいい？その…まだ声が聞きたいから｡｣
｢…いいよ｡私も､蓮くんの声聞きたいし､ほんとはまだまだ話してたいから｡｣
｢じゃああとで電話するね｡｣
｢うん｡待ってる｡｣
｢あの…さ､｣
｢ん？｣
｢ぎゅってしてもいいですか｡｣
｢ふふ､なんで敬語？そんなの許可取らなくてもいいのに｡｣
そう言って両手を広げてくれる。
抱きしめるとその体はすっぽりと腕の中に収まった｡
｢あぁ〜余計に離れがたくなる｡｣
｢俺も今言おうと思ってた｡｣
｢蓮くんって付き合うと一気に甘くなるタイプ？｣
｢それは…分からない｡Aが初めて付き合った人だから｡｣
｢もう､またそうやって恥ずかしいことをさらっと言う｡｣
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年2月8日 20時
