その16、その男、狂犬につき。2 ページ28
「あーらよっと」
ショベルを振り回している男の攻撃を避けることに手が一杯で黒子にまでまわす気がない。時たま聞こえる黒子と大先生たる声が聞こえてくることに焦りを感じる。
この状況が長引けば長引くほど不利になるのはこちらだ、早くこの場を離れたい…騒ぎを聞きつけていつ応援が来るかも分からない。
アァーー！見逃してクレメンス！！
しかし、無常かな。聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「報告に上がっとんは…あ、おった！
こちらコネシマ！シャオロンと大先生が交戦中確認！D地区の露店前や！」
もぅ、まぢ無理…白目剥こ。(白目)
今緑の人も相手しろって言われたら確実に明日の日は拝めないぞ！
どう逃げるか辺りを見渡しながら男の攻撃を避ける。しかし、逃げる場所はない。
−−諦めるか。この言葉がよぎり始め、防御の手が緩みそうになったその瞬間に、パァァン！と音が鳴り響いた。
あれ程騒いでいた周りが一瞬にして静まりかえり、そして絶叫し始める。
キャーキャーと金切り声を上げつつ我先にと、音の反対側へと走り出した人混みに希望が見えた。
ーー何故銃声が聞こえたのかは分からないが、聞こえてくるのは、敵国、テロ、何て物騒な言葉が聞こえるあたりヤバい事になってるんだろう。
あ、連射してる音も聞こえてきた。サブマシンガン持ちですね？分かります。
しかし、お陰でシャオちゃんたる男も人の勢いにたじろいでいる。
黒子がどうか分からないが、きっと頭のいいあいつも人混みに紛れて逃げるだろう。
チャンスは、今しかないーー！！
「お母さん！どこ?!お母さんーー！」
聞こえてきた声にピタリ、足が止まる。
どうも子供が母親と離れてしまった様だ。
後ろの方で転けてしまっているが、誰も助けに行かない。
近づく銃声に焦っているのか、子供の声に気づいていないのか、救う気が無いのかーー。
近づく銃声はすぐそこだ、早く逃げないと人混みも少なくなってきて逃げるのも難しくなるだろう。
「なら、覚悟を決めないと」
グッと足に力を入れ走りだす。
どれが最善なのか、きっとどれを選んでも最善なんだ。なら、私はーー。
「…おら、立てるか？」
ーー人を見捨てる様な人間にはなりたくない。
その16、その男、狂犬につき。
ーー噛みつき注意。
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きな粉大使(プロフ) - soragirl3008さん» ひょえー！コメントありがとうございます！期待に応えれるような作品が書けれるように頑張ります！ (2020年2月9日 7時) (
レス) id: 816a82456a (このIDを非表示/違反報告)
soragirl3008(プロフ) - 続編っ！ヤッター！楽しみにしてます！これからも頑張ってください！ (2020年2月9日 7時) (レス) id: 7bebdbe9d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きな粉大使 | 作成日時：2019年9月2日 16時
