22、僕が僕をたらしめるもの ページ23
「あなたは、読めたのですか？」
どっぷり夜も更けたので黒子たちと合流し、手に入れた日記を差し出せばエーミールさんは顎に手をあて、私に問うた。
え、読めんの？確かに何か所々読めんかったこともあったんやけど、大体は読めたことを伝えると彼は低く唸りながら休む様に私に告げた。
「Aちゃん。大丈夫？」
ぐるぐるとどぐろをまく黒子の目に、たじろぐ。え、お前ってこんなに…病んでそうな目してたっけ？あれ、そもそも、お前ってそんな顔だったか？
気がつけばその場から逃げ出していた。こわい、その感情だけが私の足を動かす動力源で、ただがむしゃらに走る。
息が切れて、膝が折れて、地面に転がってやっと走れないと理解した。皮肉な程綺麗に光る星達を睨みつけながら息を整える。
体を起こし周りを見渡すと、拠点地の光が小さく見える程離れた場所まで来てしまった様だ。月明かりだけでは心細く、暗闇に何か潜んでいる感覚がして心臓に悪い。
本来なら、直ぐに戻るべきなのだろうか？しかし、使い果たした体力で戻れる自信が無い。ママンが言ってた…立派な女になるには、サバンナを拳1つで生き抜けと…。
…この方法、メスゴリラになっちゃうんじゃね？いや、既にゴリラか？
話がズレた！心細すぎて要らぬ路線に入ってたわ…。とりま、雨風凌げる場所が欲しいんぬ…！文句は言わん、贅沢も言わんが火があると余計有難い。
｢よっこいしょういちろう。｣
重い腰を上げ、月明かりが照らす道を歩く。
ーこの時、私は気づかなかった。
滅んだ村に近寄る人なんているはずが無いのに、この道が舗装され草1つ生えていない事に。
22、僕が僕をたらしめるもの
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きな粉大使(プロフ) - 白さん» コメントありがとうございます。なかなか主人公がムキムキしている小説がないので書いてるんですが、好きと言ってくださりテンションうなぎ登りです…！ (2020年2月16日 16時) (
レス) id: 816a82456a (このIDを非表示/違反報告)
白 - とても面白いです。筋肉ムキムキの女の子好きなのでこの作品すごく好きです。 (2020年2月16日 14時) (レス) id: ad3a81de86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きな粉大使 | 作成日時：2020年2月9日 7時
