Everything is a story.《 JUMP × kt 》

。 ページ40

kt side





お昼を食べてからすぐ海へ向かう。

白い砂浜にきらきら輝く海、眩しい日差し。

そして隣で相変わらず写真を撮り続けている裕翔。

最後に一緒に海に来たのが裕翔でよかったな、なんてあまり深い理由はないことが頭に浮かんだ。

意味もなく海に足をつけてたら、ふいに裕翔は写真を撮るのをやめた。




｢どうしたの？｣


｢...なんか消えそう｣


｢はい？｣


｢なんかさ、けいと、消えちゃいそう。
俺らが手の届かない遠い遠いところへ行っちゃいそう｣


｢実際にそうだけどね｣


｢そうなんだけど...もっとこう、もっと手の届かないとこに行っちゃいそうでさ｣


｢何言ってんの。
ちゃんと戻ってくるから安心してよ｣




海からあがり、砂浜に立ち尽くす裕翔の元へ向かう。

砂浜にふたりで並んで座って、まるでカップルみたい。

こんな風に過ごすのもあとちょっとだと思うとなんだか泣きそう。




｢ねえけいと、たまにはそっち行くね｣


｢ええ？別にいいよそんなの｣


｢俺が行きたいの！｣


｢...ふふ、じゃあけいともたまには戻ってこようかな｣


｢そのときはちゃんと連絡してよね｣


｢え〜、どうしよっかなぁ｣


｢なんでよ｣


｢...そうだなぁ、裕翔が泣かないなら教えてあげてもいいかな｣


｢...うるさい、けいとのくせに｣


｢ひどい言われようだなぁもう｣




ずっと俯いてるのはきっと泣いてるからだろう。

それを見越してそう言えば、またしても理不尽に怒られる。

同い年だけど一個下。

裕翔とのそんな不思議な関係は案外心地が良くて。

実際はお兄ちゃんな裕翔が、JUMPではみんなの弟みたいで。

山ちゃんとちょっとすれ違ってた時期もあるけど、それを乗り越えて今じゃ誰よりも仲良くて。

趣味を仕事にしてしまうくらい何事にも熱心な裕翔はきっと、この2年でいっぱい成長するんだろうな。

この2年でみんなにどんな変化があるのか、みんなが俺に期待してくれてるくらい俺もみんなに期待している。

気づけば空はオレンジに染まり、海もまた違った表情になっている。




｢ねぇ裕翔、一緒に写真撮ろう｣


｢え...いいの？｣


｢一緒ならいいよ｣


｢...じゃあ、その前に1回だけ！｣




え？と聞き返す前にシャッターが切られた。

その直後に裕翔に見せられた写真の中の俺は、なんとも言えない表情をしている。

あぁもう、どうせならもっとかっこよく写りたかったな。





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