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kt side
「で、どこまで行くの?」
「もうちょっとーっ」
当てもなく歩くことおよそ10分。
その道中は今までの思い出がたくさん語られた。
こうしてみると意外と思い出はたくさんあるもんだな、なんてことを考えた。
そうやって思い出を話していると、ふいに知念の足が止まった。
それにつられて俺の足も止まる。
「ここだよ」
「...え?」
そこは特に変わりのないただの公園だった。
すべり台があって、ブランコがあって、ジャングルジムがあって、ベンチがあって。
なんならそこで遊ぶ子供たちもいる。
「な、なんでここ...?」
「うーん、この前見つけたからなんとなく。
けいとこういうところ案外好きでしょ」
「まあそうだけど、」
「それにこの公園、なんか懐かしい気がして。
ほら、散歩の途中にこんな公園あったじゃん。
そこに訳もなく居座ってたのが懐かしいなって」
ブランコで遊ぶ子供たちを横目に、知念の隣に並んでベンチに座る。
午前なのにもうかなり暑い日差しの下でも子供たちは元気で、その姿は10年前の俺たちに重なって見えた。
本気でやりたいって思って事務所に入ったけど、まさかデビューするとは思ってなかった。
まして事務所に入ってすぐの何もかもの経験がほぼない状態でだなんて。
毎日ダンスレッスンに食いつくのに必死で、家でもずっと復習する毎日だった。
みんなはもっと難易度を上げたダンスもできるのに、俺ができないからみんな俺に合わせてくれてる。
そう気づいた瞬間すごく悔しくて、規定のレッスン時間が終わってみんなが帰っても毎日ひとりで居残り練習してた。
歌もダンスも苦手だけど、せめてみんなの足は引っ張らないように。
そう思いながらこの10年、ずっと必死にみんなに食らいついてきた。
「...ねえ、今から珍しいこと言うね」
「え?」
「僕ね、けいとが思ってるよりけいとのこと好きだよ」
「...へ、」
「歌とかダンスとか苦手なこといっぱいあるけど、そんな部分をカバーできるくらいけいとにはいいとこがいっぱいあるって僕は知ってる。
...ううん、みんな知ってる」
「あ、ありがと...」
「正直に言うと、僕はけいとにアメリカに行ってほしくないの。
もう10年も一緒にいるからさ、急にいなくなるってやっぱり実感なくて。
それはみんな同じだと思う。
だけどね、そんなこと考えてたなんてバカみたいだって思えるくらいけいとは絶対成長して帰ってくる」
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cocorok(プロフ) - 猫の圭人ちゃんと、その飼い主の伊野尾くんがみたいです!m(_ _;)m (2018年9月14日 2時) (レス) id: fc6c88d13e (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - さとさん» コメントありがとうございます(>_<)(>_<)(>_<)まだ受け入れられてないところもありますが、2年後まで泣かないと決めたので何事も頑張りたいと思います。 (2018年9月1日 0時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - 由真さん» わ!わわ!!ごめんなさい企画に悩みすぎて拾うの忘れてました...!!後日お話上げます本当にごめんなさい(>_<)(>_<)(>_<) (2018年9月1日 0時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
さと - わたなべさん、はじめまして。今月、わたなべさんの作品たくさん読んでいただきました。ストーリーの雰囲気とても素敵です。これからの二年間、どうなんストレスでも乗り越えますように。応援しています。 (2018年8月29日 10時) (レス) id: 0cd05b9f6e (このIDを非表示/違反報告)
由真(プロフ) - リクエストの続きで、元の世界に帰って来た二人を見て、伊野ちゃんとやまは、二人が化けて出たとビビりまくるけど、身体は温かく、足も有って、ハグもきちんと出来ることに気付いて、生きて帰って来たんだと大喜びする話をお願いします。 (2018年8月5日 12時) (携帯から) (レス) id: 49bfd89e96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたなべ | 作成日時:2018年7月10日 20時