榎本家の美女【あなたの番です】 (ページ25)

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第23話ページ25

気まずい中、口を開いたのは神谷さんだった。

神「着きましたよ」

『ふぇ?あ…本当だ…』

神「…大丈夫ですか?」

『あ、あぁ…はい!大丈夫でしｯ!あ。大丈夫でっです!』

マンションを前にしてボーッとしてた私を神谷さんが気遣って声掛けてくれたけど、顔を覗き込まれてさっきの事を思い出してつい慌ててしまう。

すると、神谷さんにクスッと笑われた。正直あんま笑うようなイメージがなかったせいか口には出さないけど、可愛いと思った。

神「すみません、そんな反応されるとは思わなくて…つい」

『い、いえ…』

神「……明日また昼頃に迎えに来ます。来る時にこちらから連絡するので」

『はい、ありがとうございます…!神谷さん気を付けて帰ってくださいね、おやすみなさい』

神「……おやすみなさい」

結局エレベーターホールまで送ってもらってしまった…。エレベーターに乗り込み神谷さんに見送られた後、またさっきの事を思い出してしまって顔が熱くなった

部屋へ戻ると急いでシャワーだけ済ませすぐ神谷さんへ連絡を入れた。車運転してて出ないかな…?

3コール目で出なかったら明日直接伝えよう。1、2…と心の中で数えていると2コール目にして、はい。という声が聞こえた。数十分前まで話していた彼の声…少し眠そうな感じかな…。

神「…どうかしましたか?」

『神谷さん、私です。Aですけど…』

神「はい、わかりますよ。画面に貴方の名前が出ましたから。」

『ですよね…すいません。…あ、あの。えっ、と…車が来た時守ってくれてありがとうございます』

意識してしまうとやっぱり緊張して上手く言葉が出てこないけど、伝えたかったことは伝えられ安堵した

神「…そんなことですか、気にしなくていいですよ。貴方に怪我が無くて良かった」

『神谷さんのおかげです。本当にありがとうございます』

神「いえ。…明日の祭り楽しみですね」

『…！はっはい！』

神「…あんな遅い時間まで仕事して眠いでしょう?ゆっくり休んでください」

もっと声が聴きたいと思ってもやはり眠気には適わず、そのまま神谷さんの言う通りにしてベッドに寝転んだ。まだ繋がってるであろう電話を耳に当てながら。

『…神谷さんもいつもお仕事ご苦労さまです。ゆっくり休んでくださいね』

神「…おやすみなさい」

彼が電話を切ったのを確認し、そのまま目を閉じた。

そっと願うのは夢でも神谷さんに会えますように。なーんて…この数日で私は彼に溺れてしまってるようだ